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おかやま地どりの生産・消費拡大を目指して
1 はじめに
昨今,賞味期限改ざんや表示と異なった原材料を使用したりと,食品の偽装表示が相次いで摘発されています。食の安全・安心が求められる中で,このように消費者の信頼を裏切る行為が後を絶ちません。
畜産物においても,淘汰された採卵鶏,いわゆる廃鶏を「地鶏」と偽って販売した事件がありました。
そこで今回は,一般的な地鶏の生産基準とおかやま地どりの生産方法を再確認したいと思います。
2 地鶏の生産基準
古来から日本で飼養されている土着の鶏を称して「地鶏」とされる場合もありますが,食肉としての地鶏は,(社)日本食鳥協会の「国産銘柄鶏の定義」に定められており,表1のとおり4項目の生産基準があります。特に素びなは,在来種の血液が50%以上含まれていることや,28日齢以降は平飼いで飼育することなどの条件が取り決められています。
3 おかやま地どりの生産方法
鶏肉消費量の大部分はブロイラー肉で占められていますが,グルメ志向の高まりとともに,消費者の一味違った鶏肉を求める声が高まったことなどを受けて,昭和63年に岡山県が作出した「おかやま地どり」について紹介します。
(1)素びな
おかやま地どりの交配方法は図1のとおりです。総合畜産センターで継代育成してきた在来種である横斑プリマスロックとロードアイランドレッドを掛け合わせてできた雌のゴールデンネックに家畜改良センター兵庫牧場の白色プリマスロックを交配させてできあがります。従って在来種由来血液百分率は50%になります。
図1 おかやま地どりの交配様式
(2)飼育方法
おかやま地どりの標準的な飼育期間は,雄が90日,雌が100日で平均95日で全期間平飼いを行っています。
一般のブロイラーが52日程度ですから,これより2倍近く長く飼うことによって,適度な歯ごたえとうまみのある鶏肉ができあがるのです。
飼育密度は,餌付け時から21日齢までは坪当たり50羽以下,21日から63日齢までが坪当たり30羽以下,さらに出荷時までは坪当たり15(雄)〜20(雌)羽以下で飼育します。特に28日齢以降は国産銘柄鶏の定義で定められている飼育密度より厳しい設定をしています。
平成19年度は,おかやま地どりの主な飼養農家は8戸で2万6千羽程度の出荷見込みです。
なお,2005年食肉産業展銘柄食肉コンテストで,おかやま地どりはさつま地鶏に続いて10銘柄中第2位の高い評価を得ました。
4 終わりに
おかやま地どりの雛は総合畜産センターで生産し,農場や是非とも地鶏を飼ってみたいという人達に供給しています。
また,飼育農家,処理業者,販売業者及び行政等で構成するおかやま地どり振興会(事務局:総合畜産センター)の活動を通じて,農家の生産指導や情報交換を行うなど偽装表示等の違法が行われないよう適正な流通に心がけています。さらに地鶏肉販売の際は,おかやま地どり振興会発行の認証シールを貼付しています(図2)。
今後もより低コストでおいしい「おかやま地どり」が生産できるよう研究を進めるととも安全・安心な鶏肉を供給できるよう側面的な支援を行っていくこととしています。
図2 おかやま地どり認証シール
日本の在来種 | ||
名古屋種 | 烏骨鶏 | 横斑プリマスロック |
会津地鶏,伊勢地鶏,岩手地鶏,インギー鶏,烏骨鶏,鶉矮鶏,ウタイチャーン,エーコク, *横斑プリマスロック,沖縄髯地鶏,尾長鶏,河内奴鶏,雁鶏,岐阜地鶏,熊本種,久連子鶏, 黒柏鶏,コーチン,声良鶏,薩摩鶏,佐渡髯地鶏,地頭鶏,芝鶏,軍鶏,小国鶏,矮鶏, 東天紅鶏,蜀鶏,土佐九斤,土佐地鶏,対馬地鶏,名古屋種,比内鶏,三河種,蓑曳矮鶏, 蓑曳鶏,宮地鶏,*ロードアイランドレッド (注)在来種とは,明治時代までに国内で成立し,又は導入され定着した鶏種のこと。 *印はおかやま地どりの原種鶏 |