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〔畜産農家の声〕

フォーベルネット会員 上田 ちず子

(備中県民局新見支局 畜産班)

 我が家は岡山県の北西部にある新見市哲西町で,母,私たち夫婦,長男の4人家族で,和牛の繁殖肥育一貫経営をしています。
 我が家では繁殖牛の繁殖サイクルのステージに合わせて,3つある牛舎を利用しながら飼養しています。
 繁殖牛は近くの栗山にあるハウス牛舎で,山に放牧しながら飼っています。放牧により強く健康で発情のよくくる繁殖牛となります。
 また,栗山のハウス牛舎は牛を前後から観察できるように,明るい通路をつけており,発情を見つけやすくなっています。


栗山にある放牧場
(冬なので葉が落ちてしまってます。)

 ここで種付けをし,妊娠鑑定まで済んだ牛は,家の前の分娩・育成舎へ移し,分娩させます。分娩後4日間は子牛を親牛と一緒に飼いますが,5日目には母子を分けています。
 繁殖牛は分娩後10日ほど経つとまた栗山のハウス牛舎に戻しますが,1頭ずつだとうまく放牧している群れに戻れないことが多いので,必ず少なくても2頭ずつ戻すようにしています。
 子牛は親牛からの分離後,分娩・育成舎で育て,子牛市へ出したり,肥育舎で肥育したりしています。
 我が家で肥育した牛はおいしい「千屋牛」となり,今年の新見地区枝肉共励会では優秀賞を獲得しました。
 また,我が家では飼料の自給にも力を入れおり,繁殖牛用の牧草は購入のものがありますが,肥育牛用の稲ワラは全て自給しています。
 畜産以外についても地域の特別養護老人ホーム 哲西荘で週2回,訪問介護ヘルパーとして勤務しています。そこで利用者と話し,いろいろなことを教えてもらったりするのが,楽しいだけでなく,利用者の皆さんが私を待っていてくれることがうれしくて訪問ヘルパーとして働かせてもらっています。
 長男は平日会社勤めをしながら,牛の管理を手伝ってくれています。その上,人工授精師,削蹄師として岡山県内だけでなく,鳥取県等近県各地に行き,活躍してくれており,我が家の牛の人工授精もしてくれています。


鯉ヶ窪湿原祭りで牛を追う長男の稔さん

 また,5月に地元の行事である鯉ヶ窪湿原祭には,着飾った牛で田植え前に代かきさせるのですが,その追っ手の1人として参加しています。このように立派な後継者として育ってくれています。
 今後は発情をよく観察し,1年1産を目指した畜産経営を進め,息子につなぐためにも,主人ともに力を合わせてがんばっていきたいです。