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交流と憩の広場づくり

蒜山酪農農業協同組合 
参事 芦 立 照 男

 酪農後継者等によるアルプホルンの演奏風景 

 昨年11月,ジャージー導入40周年,中国四国酪農大学校創立30周年及び本館竣工を記念して,大記念行事が行われました。この記念行事を通じて様々な事を思いました。
 先ず,ジャージーに関してこのように多くの中央及び地方の機関にお世話になっている事と,来賓の御健在を拝することが出来ましたし,同時に此の地へジャージーを選定して下さった(しかし,それは時代の変遷の中でジャージー故の困難さと,今でこそ言えることですが,ジャージーならばこその可能性との二面性はあったにしても)先人の方々の偉大さに思いを新たにしました。
 その記念行事のフォーラムで,秋田県の方がおっしゃいました。「ジャージーが減少する中で自分達の時代にその灯を絶対に消してはならない」と。悲壮ともとれる御発言でした。
 しかし,消されないと言うのは,「メンツ」もありましょうが,この牛は乳も良いし,肉も良い。そして消費者にもファンが出来て来たが故に消してはならないのだと思います。
 そして継続するためには継続できるような対応が必要だと思います。ジャージーは,ホルスタインに比較して生産性が劣り,そのうえ,自由化の中です。継続できる対応とは,一にも二にも消費者に信頼されることです。メーカーさんは,すべての面で格段の信頼がありますが,それの乏しい我々には唯一,消費者との「契約生産」的方法以外には道は無いのではないかと考えています。それは,消費者の信頼の得られる飼育方法であり,加工方法であり,健康的でおいしい製品であることだと思います。製品の品質を左右するのは原料乳ですから,消費者の求める原料乳生産を追求しなければならないと思いますし,非常に困難な事ですが,当然乳価に差があるべきだと思います。従って真の営業マンは酪農家であると思います。
 当組合では,従来の飲用牛乳のみの製品に加えて,県のご指導で始めたチーズ製造を契機とし,それ以後は,「なるべく搾ったまゝ」を基本にして「ジャージーらしさ」更に「ひるぜんらしさ」を商品化する事に取り組んでいます。
 お客様個人の間に宅急便を利用しています。仕事は繁雑で,特に冬場の荷作りは大変ですが,組合としては大事な仕事としています。蒜山へ旅行して食べたとか,或は,おみやげにもらった等と注文があり,その度に我々の目に見えない所で製品を巡って,人々の心が通じているのを,ひしひしと感じます。
 また,極度に小食の子供が,このヨーグルトは食べてくれた嬉しさに手紙を書いたという若いお母さんの喜びの顔の見えるような便り,また,食事が喉を通らない末期の病人がこのヨーグルトは食べた等々,この種の便りを拝見するにつけても携わる者の冥利を感じます。
 本年10月完成予定で着工しているビジターセンター(農村資源活用農業構造改善事業による)は,「酪農と地球環境」をコンセプトにジャージーランドを整備して,一大交流パークを想定しています。40ゥの牧草地(八束村有地)と蒜山の景観,工場見学と体験,堆肥(勿論無臭)や活性水の利用(無農薬,無化学肥料を目指す),また,バクテリヤと酪農の関わり等々,AVも利用しながら蒜山とジャージー酪農を納得してもらい且つ,すばらしい景観と共に,おいしい乳・肉メニュー(蒜山ならではの)で,もてなしたいための施設です。
 また,このビジターセンター及び乳製品工場を中心に,組合の全施設を集結整備して,更に,レジャーランドの充実を図るという将来計画もしています。
 ジャージーランドで数年前から,ピアー演奏等を入れて夏の野外ディナーを開催していますが,同時にアルプホルンの演奏を倉敷市文化財団の皆さんにお願いしています。昨年からは組合でホルンを備えて,酪農家の後継者,地元高校生がレッスンを受けています。
 余談ながらそのユニホームは,同文化財団の物(輸入品)を参考に学校の先生の御指導で,ホルングループの生徒が自分達で仕上げたものです。
 このホルン,そして始めてから10年になる酪農婦人部のレザークラフト等が,酪農家の生活のリズムの一つとなり,そして更にこのジャージーランドが「交流と憩」の広場となり,蒜山の酪農が厳しい中にも安定することを期待しています。