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アグリービジネスの芽を21世紀へ

 三協流通グループ
美土路 永 一

 新年明けましておめでとうございます。
 「農業経営としての事業展開をどうめざすか」についてお話を申し上げ,新年の抱負とさせていただきます。
 私ども三協流通グループは,太陽,地球,農業というロゴマークを設けまして農業経営のシンボルマークを掲げ,ブロイラーの生産,製造,販売の一貫経営を行っています。
 創業30年余,生産者から消費者まで一貫した流通体系を自分達で作り,お客様の開拓を行う自己貫徹型の農業経営を中心に,企業グループとしての農業経営をめざしています。そして,構成企業グループとして,
・株式会社 ナチュラルノーサンは,三協流通グループ企業の本部機能を行う頭脳会社として,平成8年本格的な活動を開始する予定です。
・有限会社 三協食鳥は,三協流通グループの中核企業で,自営養鶏農場では,常時飼育羽数16万羽〜20万羽をめざし,傘下養鶏農場では常時40万羽を飼育しています。本社工場及び加工工場兼津山営業所,姫路支店,神戸支店の事業所を持ち,直接消費者やスーパーに販売を行っています。
・有限会社アグリーサンキュウーは,諸般の事情により,平成4年養豚経営から撤退し,現在は,農業法人として農業研究施設の開発管理を行っています。
・ジャンボツヤマ有限会社は,地元,津山市に展開するグループ直営のディスカウントスーパーとして消費者へ直接販売出来るスーパー経営です。
・有限会社サンショクは,神戸市で,弁当,惣菜,食肉の加工販売に力点を置いています。
 今後のアグリビジネスとして,ますます多様化する消費者ニーズの中で農業経営を中心にした企業グループがいかに生き残り,発展していくか経営力が問われる時代になっています。ウルグアイラウンドによる農畜産物の市場一部開放は,我が国農業の転換をもたらし,市場の動向を益々不透明なものにしています。補助事業による生産・加工・販売の設備などが如何に行われても消費者ニーズに対応できる力を備えるためには,自助努力以外道はないと思います。
 そこで,三協流通グループは次の様な選択を行って,農業経営強化促進法に基づく制度融資等の導入を計り,小さいながらも自己貫徹型の目標を掲げています。それは,農・工・商合体経営の社の未来像に三協グループの農業経営思想を導入することです。
 農業は,国民生活の基盤を支える産業であるにもかかわらず,その農業に市場の方向性を左右できるだけの力がないのはなぜでしょうか。それは,経営感覚がまだ発展途上であるということからだと思います。技術的には世界一と言われながら,生産から流通までの統括力に欠けているのです。生産から加工,流通,販売とすべてのプロセスに亘る事業展開,分社経営の有機的な結合によって農業の抱える様々な問題をクリアできる連邦経営こそが「将来の農業像」と考えています。
 具体的には抗菌物資,無添加飼料,あるいは,バイオ添加飼料で飼育された若鶏を加工する三協食鳥。生産された鶏肉を直接,地元の消費者に届けるディスカウントショップ。また,より大きな商圏への商品供給を行う神戸,姫路の各拠点。さらに,それらすべての企業活動を統括し管理を行うナチュラルノーサン。これらのグループ企業がそれぞれの本分を明確にし,企業としての経営感覚を磨き,実践することです。連邦経営のメリットは何も販路作りなどの直接的な部分でのみ効果を生み出すものではありません。より強固かつ自由な組織によって様々な「新しい展開への挑戦」が行える事実が大きな強みです。そうした展開として現在,バイオ活用による新しい養鶏に取り組んでいます。
 『品質,安全性,またニーズに即応できる生産能力』これらは,全て生産会社としての基本能力だと考えています。新しい価値観の一つとして,自らの組織に「迎賓館」的な要素を盛り込もうとしています。三協流通グループという「王国」とお客様とがともに語らい考える場としての企業作りが目標なのです。人的,設備的,環境的にも「魅力的で美しく,素晴らしい」と感じていただける会社作り,私たちの農場を,工場を,マーケットを一度訪ねてみて下さい。お待ち申し上げています。
「販売なくして経営なし」これが将に私たちの目指すスタンスです。