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星の郷 美星町

JA美星町 藤 原 範 男

 美星町は,吉備高原西南端部の一角に位置し,平均標高300m余りの中山間農業地域に類した土地利用型農業振興地である。
 町の人口は6,282人,世帯数は1,800戸で東西12q,南北13q,総面積は72.7hと小さく,高齢化は27%と高い。
 そこで町の活性化対策が大きくクローズアップされ,最近数多くの事業が実施されている。
 ユニークな事例として,美しい星の町という地名を生かして,平成元年11月に全国では初めて『美しい星空を守る美星町光害防止条例』が制定され,また101p口径の望遠鏡が設置された天文台も建設された。
 平成4年4月には,鎌倉から室町時代にかけて吉備高原一帯にみられた『むら』の建物や生活風景の様子を絵巻物や発掘資料をもとに再現した『中世夢が原』がオープンしている。また農業後継者グループが中心となって,『星の郷青空市』が昭和62年に開設され,町内で生産された農産物や畜産加工品を販売しており,近隣各地から好評を得て現在では,年間30万人もの買い物客が訪れている。

酪農のあゆみと加工

 昭和36年には458戸,1,078頭とピークに達し,『酪農1,000頭祭』がにぎやかに開催された。また,四農協が合併して,美星町農業協同組合が発足し,市乳産地形成事業の指定を受け集乳処理場を新築した。この年から『美星牛乳』が誕生し,学校給食への供給が開始された。
 昭和40年代に入ると一戸当りの多頭化現象が進み,日産10tに達したものの,世界経済の変動,石油危機により,生産費は高騰,乳価は値下げという厳しい環境となり酪農家が激減した。
 昭和62年には,『星の郷美星ふる里特産化事業』に取り組み,紙パック方式の牛乳製造施設を導入し,特産品として本格的に増産体制を整えた。また,手づくりアイスクリームは昭和63年7月にイタリアのカルビジャーニ社製のハード・アイスクリーム・フリーザーで製造したのが始まりである。そして,平成元年11月に,乳製品の総合生産拠点として西水砂地内へ『ミルキーランド』を新築し増産体制を整えるとともに新製品の開発も行い,ヨーグルト『美星』を発売した。また,レアチーズケーキ『美遊星』も販売し,それぞれ創意工夫した乳製品で独特の味を醸し出して非常な人気商品となっている。

養豚のあゆみと加工

 昭和42年に畜産団地造成事業実施要網が制定され,繁殖豚農家7戸,肥育豚農家5戸からのスタートで328頭の肉豚が初出荷された,翌年に養豚部会が設立した。以後,規模拡大,農家戸数の増加等で昭和45年には1,150頭収容できる集団肉豚場を建設し,ケージ飼育方式を開始した。
 その後,地域内一貫経営の組織が確立され,『美星豚』が注目される養豚団地に成長した。そして,昭和61年4月から岡山市民生活協同組合との間で産直事業が始まり,安全で安心できる高品質な豚肉の安定供給をはかっている。
 手づくり加工品は,同年10月から取り組み焼豚,ロースハム,ソーセージなどの製造を開始した。何れの加工品も独特の品質管理で本物志向に徹し,販売網も拡充して県内外からの受注が多く,『美星ロースハム』は特に賞賛を得ておりブランド確立化が進展している。

21世紀にむけて

 全国的に畜産農家は輸入自由化,高齢化,後継者不足等により戸数の減少が著しい中,国際化時代に対応できる総合産業型農業を求めて,平成6年度から『担い手育成畜産基盤総合整備事業』に取り組むことに決定し,大規模企業的経営の育成のため3戸の酪農家がフリーストール牛舎等建設を進めており,参加農家8戸による草地利用組合を設立して,土地基盤に立脚した足腰の強い酪農経営を図るため15ゥの草地造成も始まっている。環境保全対策として日量30t処理できる堆肥センターを町,農協で計画しており,耕種農家とタイアップして有機農産物の普及推進と有利販売に努める。養豚関係では,繁殖豚舎と肉豚舎の整備,環境保全施設の充実を図り低コスト生産に向けて計画中である。
 最後に,食肉加工場をミルキーランドの隣へ新築する計画も着々と進んでおり,乳製品と食肉加工品を一体化して高付加価値畜産物の生産拠点とし,新しい美星町の特産品として全国に発信したいと考えている。このことにより農家意識も改革され,生産意欲の増進と収益性の向上が畜産経営安定に寄与するものと確信している。
 以上,本事業の導入により農家の生産基盤強化と加工品製造施設の拡充が図られ,生産から加工そして販売と総合的流通事業を展開することが21世紀に向けての美星町畜産の姿ではないかと考えて事業を実施しているところである。
 今後共,行政および関係団体の方々の御指導,御協力をお願いします。