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「ゆとり」ある酪農経営の実現を目指して

勝央町 河 本 直 紀 

 平成6年,初代酪農家としてスタートして早いもので2回目の正月を迎えることができました。先輩方や諸先生方に指導,御助言をいただきながら今日という日を迎えることができましたことを,この紙面をお借りして感謝申し上げます。
 この2年間,自分自身で考えたことをふり返り,また,新年に向い,今後の抱負を書いてみたいと思います。
 私は,牛舎,機械等の酪農施設を全て「リース」でまかなう,初代の酪農家としてスタートをしました。就農以前私は,(財)中国四国酪農大学校を卒業し,5年間ホクラクの検定員をしながら,久米南町の牧場での研修を行っていました。そのため技術面での不安はあまりなかったものの,どれだけ自由に自分のペースで仕事が出来るか,ということを常に考えるようになりました。
 酪農はよく「3K」だと言われますが,朝・夕に搾乳等をやっていれば,昼間は自分の時間に使えるし,さらに,ヘルパー制度も充実しているので旅行にも行けるし,昔のように牛舎に縛られるということのない時代になっていると思うのです。
 私の経営の信条は『ゆとりある経営の実現』であり,そのために,自家育成なし,自給飼料なしで,労働時間は年間300日,2,000時間を目指して,できる限り省力化を図っていくのが目標です。
 この2年間で結婚や長女の誕生があり今後は,ある程度の規模拡大を考えて行く必要があると思っています。そのため現在「フリーバーン牛舎」の建設を計画中です。頭数も現在の25頭から70頭位までの規模拡大をしたいと思います。基本的に私一人で酪農作業をやりたいと思うので,この位の頭数でやるつもりです。  また,現在は有利な資金制度が充実していて,若い農業後継者でも資金面などで優遇措置を受けやすくなっていますが,残念ながら私のように「ゼロ」から農業を始める者にとっては,まだまだ不利な面が多いと感じています。(あまえになるかも知れませんが)
 酪農大学校でも今は,非農家出身者が多くなりました。これからも後継ぎという形ではなく,新しく酪農をしようと考える人が確実に増えると思います。そういう人達に,少しでも有利な支援制度が今後できることを期待しています。
 また,自由化がスタート厳しい農業になってきましたが,今こそ,消費者に良質で安全な農産物は提供できるが,多量にかつ安くはできない,ということをアピールすべきです。
 私も規模拡大により,借金をしますが,借金に関係なく,経営,生産構造をよくして,収支の体系をきちっとして利益を出していこうと思います。
 頭数を増頭しても「ゆとりある経営の実現」はさらに追求していくつもりです。
 最後になりましたが,私の住む勝央町には酪農家を中心とした,農業後継者クラブがあります。この仲間を大切にしながら一緒になり,勝央町の酪農を盛り上げていきたいと思います。
 今後とも,御指導の程をよろしくお願いします。