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付加価値鶏卵の生産と憩いの場づくりをめざして

和気郡佐伯町 中 家 哲 雄  

 明けましておめでとうございます。
 「岡山畜産便り」への寄稿の要請をうけまして,不慣れなことでもあり,あれこれと考えたり,今後の希望点等を,書いてみたいと思います。
 現在,放し飼いで採卵鶏を約5千羽飼育しております。それまでは,父親と普通のケージ飼育により白玉で約4万羽の鶏を飼っていましたが,大型化,機械化する養鶏事業が進んでいく中で,今後,高卵価はさほど期待できない状況が,続いていました。将来的に今のままでは,経営が成り立たないのではないかという判断の下で,検討を行っていました。その中で大型化する方向と,付加価値のある卵を生産することのどちらかで経営の安定を図ってはどうかという指導を戴き,最終的に後者を選んだ訳です。
 更に,付加価値についてもたくさんありますが,その中で先進地での研究や量販店の意向を当たって行く中で最終的に放し飼いでの飼育に取り組み,飼料についても,緑餌や海草を与えることにより,消費者の方に,おいしくて安心という卵を作っています。
 この卵を,量販店で販売して戴いてもおりますが,宅配便での直送や,地場においての,産直販売,青空市場等での販売など消費者の方に,顔の見える販売を進めています。
 これからも,卵の市場価格が多くを望めない中で,付加価値のある卵の生産は,大規模でない農家においては,生き残って行く方策としては,一番取組やすい方法だと思います。
 ただし,付加価値のある卵は,販売が伴わなければ,付加価値を与えるための経費の増大だけで終わる危険性も孕んでいます。従って,販売量と連動する必要が生じますし,年間の供給量に大きな変動がないようにする必要があります。また,消費者の動向が,時代の経過と共に変わって行くことも考えられますし,価格面でも,競争が激化することは十分予測できます。
 そのため,販売状況を的確に判断すると共に,各種機関の指導・情報を積極的に受け入れる事も重要であり,その活用を図って行きたいと思います。一方,地場においての販売を強化することにより,消費者の動向を常につかんで行くことも重要なことであると思います。
 また,販売量に連動した生産の確保とは言っても,販売量の増大を図って行かなければなりません。このため,積極的に各種イベントへの参加や量販店での販売促進をお願いしていこうと思います。
 今後の夢についてですが,今はまだ,養鶏場という状況ですが,将来的には,消費者が集まる公園的な場所を作り,この地域に観光に来られた方が気楽に立ち寄れる場所の一つになるように整備を行い養鶏場から観光農場に切り替えることを目指し,農場内に直販所を設けて,販売の強化を図ることも併せて行ってみたいと思っています。
 最後になりますが,最終的に今感じていることは,消費者が喜んで(満足して)くれる商品を作って行くことが必要だということです。それには,価格面もありますし,品質面もあると思います。そのために,更に研究を重ねるとともに,皆様のご指導を賜ることをお願いして,終わりにしたいと思います。