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本県の基本的な改良方針として,岡山和牛の特徴である増体能力を維持しつつ特に肉質向上を主眼に推進している。また,系統をも考慮に入れながら平成3年からは育種価を基本に表1のとおり種雄牛作りを行っている。従来から「清国・下前系」,「安達系」及び「藤良系」の3系統に県外系を合わせた4系統で種雄牛作りを実施しているが,特に,主要3系統のバランスを考慮しながら,優良形質の固定した種雄牛作りに表2のとおり取り組んでいる。藤良系では武藤21,福藤が糸藤での遺伝的寄与率は75%,62.5%と比較的高い,また安達系では西勝,千代丸が高庭での遺伝的寄与率38%,43.8%とこれらも比較的高い種雄牛が作出されている。今後は清国,下前系では守1号,安達系では高庭号の遺伝的寄与率の高い種雄牛の造成をさらに推進しているところである。
表1.系統別種雄牛等
系統 | 種雄牛名 | 検定終了・開始予定 | 育種価 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
脂肪交雑 | 枝肉重量 | ロース芯面積 | 区分 | ||||
藤良系 | 種雄牛 | 平田 | − | 0.410 | 19.167 | 3.702 | |
第2富藤 | − | 0.608 | 16.653 | 3.510 | |||
藤花 | − | 0.727 | 17.323 | 2.325 | * | ||
候補牛 | 新高平 | H7.12終了 | 0.151 | 10.999 | 1.684 | * | |
新竹花3 | H8. 3終了 | 0.474 | 17.353 | 2.809 | ** | ||
第8平福 | H8.10終了 | 0.260 | 15.623 | 4.238 | * | ||
竹藤21 | H8. 8開始 | 0.911 | 21.908 | 2.792 | * | ||
福藤 | H9. 1開始 | 0.817 | 21.467 | 2.831 | ** | ||
清福 | 0.508 | 15.621 | 1.703 | * | |||
清国下前系 | 種雄牛 | 赤木1 | − | 0.506 | 8.968 | 0.082 | |
花守 | − | 0.259 | 7.544 | 4.621 | |||
候補牛 | 第5仙山 | H8. 6開始 | 0.600 | 60790 | 1.860 | * | |
守藤 | 0.480 | 9.366 | 3.376 | * | |||
安達系 | 候補牛 | 西勝 | H8. 1開始 | 0.486 | 4.945 | 1.200 | * |
千代丸 | H9. 3開始 | 0.836 | 7.494 | 1.586 | * | ||
その他系 | 候補牛 | 菊藤 | H8. 7終了 | 0.589 | 3.214 | 3.146 | ** |
稔糸茂 | H8. 3開始 | 0.598 | 6.216 | -1.260 | * |
表2.遺伝的寄与率の高い種雄牛
系統 | 各号 | 血統 | 遺伝的寄与率 | |||
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父 | 母の父 | 母の祖母 | 母の祖々母 | |||
藤良系 | 武藤21 | 糸藤 | 糸藤 | 第7糸桜 | 守1 | 糸藤 75.0% |
福藤 | 糸藤 | 平田 | 糸藤 | 第2明石 | 糸藤 62.5% | |
安達系 | 西勝 | 第12西丸 | 糸藤 | 高庭 | 第11松田 | 高庭 38.0% 糸藤 25.0% |
千代丸 | 第12西丸 | 糸藤 | 高庭 | 高庭 | 高庭 43.8% 糸藤 25.0% |
県外系では菊藤号(紋次郎−糸藤−菊茂土井)稔糸茂号(南糸茂−第7糸桜−栄13)が選抜され,現在検定を実施中である。さらに,兵庫系の利幸土井号(安幸土井−安重土井−茂金波)は阿哲,津山地区の育種牛を中心に交配され,本年6月から分娩しており交配雌牛の育種価等を考慮に入れながら検定を行う予定である。また,受精卵移植による種雄牛作りを推進するため総合畜産センターでも表3のとおり育種価の高い雌牛で,採卵を行っている。もりはやし4号で3頭が受胎し7年12月に分娩予定,はなや6号では4頭が受胎し,8年2月には分娩の予定である。これらについても産子の状況をみながら検定を行っていく計画である。
表3.交配牛の育種価等
各号 | 血統 | 育種価 | 分娩予定 | |||
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父 | 母の父 | 脂肪交雑 | ロース芯面積 | 枝肉重量 | ||
もりはやし4 | 第7糸桜 | 守1 | 0.961(A4) | 3.254(A2) | 11.886(B1) | H7.12月3頭 |
ははや6 | 糸藤 | 第7糸桜 | 0.831(A1) | 3.515(A1) | 18.313(A1) | H8.2月4頭 |
なお,体積,体の深さの改良には鳥取系の糸北鶴(第7糸桜−北気高−気高)での種雄牛作りも急いでいるところである。
次に,本年度新しく導入された種雄牛を紹介します。
1.清福号
本牛は平成5年12月17日生まれで,新見市産で父は糸藤,母方は清国下前系で良く固定されており,育種価は脂肪交雑0.817,枝肉重量15.621と優れた種雄牛である。
交配については肥育素牛生産で安達系,藤良系との交配が良く,種畜としては清国,下前系との交配が最善である。また,大型の牛への交配も適している。
表4.清福号の血統
父母 | 祖父母 | 祖々父母 |
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糸藤 | 第7糸桜 | 第14茂 |
第9いとざくら | ||
ひろた1 | 第6藤盛 | |
ひろた | ||
きよふく11 | 守1 | 第2明石 |
かみ | ||
ふくだ11 | 第11松田 | |
たけだ2 |
2.守藤号
本牛は平成6年7月5日生まれで,苫田郡勝北町産で,父牛は花守号,母牛のもりふじ5号は育種価での脂肪交雑は0.700(A1)県下のトップクラスである。
交配については,肥育素牛生産では藤良系,安達系で,種畜生産では清国,下前系との交配で良牛の生産が期待できる。
以上,最近の種雄牛作りの現状を述べましたが,特に,守1号,高庭号の後継牛作りでは,現存する基礎雌牛等高齢牛が多く,ここ1〜2年が最後のチャンスと考え,全力をあげているところであり,皆様方の御協力をよろしくお願いします。
表5.守藤号の血統
父母 | 祖父母 | 祖々父母 |
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花守 | 第8誠花 | 守1 |
せいはな6 | ||
とみきよ | 守1 | |
第5なかはな | ||
もりふじ5 | 糸藤 | 第7糸桜 |
ひろた1 | ||
もりふじ | 藤美3 | |
もりなが |