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「新規就農者の紹介」

養鶏家の後継者誕生

   総社市 江尻 和彦さん

 総社市では最近新規就農者がなく,後継者クラブ活動も低調になっていましたが,平成6年に養鶏部門で新規就農者が誕生しました。今回その江尻和彦さんを紹介します。

 ※江尻和彦さんのプロフィール

 

 江尻さんに病院勤務をやめ養鶏に従事する決心をした動機をたずねたところ,結婚をする時に将来は家の後継者として養鶏を継ぐ意志を固めていたので抵抗はなかった。できれば父親の正さんが元気な間に養鶏のノウハウを引き継ぎたいと思い決断をしたそうです。現実に養鶏に従事して始めて養鶏業をとりまく環境の厳しさが身にしみて感じられると話してくれました。反面,今までのサラリーマン生活とちがい仕事のやりがいがあるし,全てのことに勉強の必要性を知らされ,日夜充実した生活を過しているそうです。
 今年2月に父親から経営委譲を受け,農業改良資金を借り入れ鶏舎の改築中ですが,全てが始めての経験であり父親と相談しながら低コスト化を実現していき,自分の経営を組み立てていきたいと意欲的に取り組んでいます。当面成鶏羽数は現状の64千羽を維持するが,低コスト化を目指して施設費に無駄な投資をしないように心がけています。従来の開放鶏舎(25棟)を老朽化したものから順次建て替え,また機械・器具は使えるものは可能な限り再利用しながら建築中です。また,鶏舎の利用率向上により,間接的に固定費を低減するため,従来から行なっている自家育すうも継続して行なうことにしています。
 飼育管理では産卵率の向上と飼料要求率の低下に重点をおき,飼育管理技術を習得していきたい。特に飼料の無駄を極力少なくする努力,1gの飼料のロスが年間には経営の収支を左右する大きな金額になることを実感した。更に養鶏の技術に対する精密さにも驚いたそうです。将来とも地域で養鶏経営を継続するためには,地域との調和を保つことも重要であり,鶏ふん処理には最善をつくし,養鶏を通じて地域に貢献できることがあれば積極的に協力していきたいと考えています。
 一方,農業後継者クラブ活動では,本年4月から総社支所管内の後継者8名により「きびじ農業後継者クラブ」として再発足した機会に加入し,地域の仲間とともに活動していますが,いろんな分野の人達との交流の大切さを感じるそうです。今後も農業に従事する仲間として後継者クラブ活動を積極的に行ない,さらに他分野の異業種の人々との交流の機会を増やし,自分の養鶏経営の安定と向上に役立てたいと意欲を燃やしています。
 最後にUターン就農されての感想を聞いたところ,養鶏のきびしさは実感しているが,自分で工夫していけばその結果がすぐにわかるやりがいのある仕事です。将来も父親の確立した養鶏経営の基本を守りながら,目のいきとどいた農業としての養鶏経営を行なっていきたいと話してくれました。
 江尻さんの前向きな姿勢と研究熱心さ,さらに父親の指導のもとに日々養鶏家らしく,たくましく成長していく姿に接していると将来は父親に優るとも劣らない養鶏経営を実現するものと確信しています。

(倉敷農業改良普及センター)