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「ひろば」

「岩手全共の勝者をめざして」

岡山県家畜人工授精師協会 
会長 赤 峰 和 男 

 牛肉の輸入自由化の波は畜産農家にとって予想以上に厳しいものでありますが,特に繁殖和牛については,育種価を活用した優良種雄牛の造成や優良雌牛群を充実し,市場性の高い子牛を生産することが望まれます。
 ここで,本県の和牛の流れを少し振り返って見ますと,全国和牛能力共進会以前は中国六県共進会が行われており,岡山和牛は常に上位を占めていました。また,第1回の全共は岡山で行われ,岡山牛の良さを全国にPRすることができました。私は,その5年後鹿児島で行われた第2回全共に若雄1頭を出品させていただき,優等2席に入賞した思い出があります。このときも岡山からの出品牛は種雄牛も雌牛も全頭上位に入賞し,全国の和牛農家の注目と的となり,おかげで全国各地から多くの人が岡山へ,子牛や妊娠牛を購買に来ておりました。そのころ貢献した種雄牛が,第2中山号,第11松田号,第三安達号,第2明石号等でした。
 当時は,県にも町村にも優秀牛の保留制度がなく,県共・全共等で上位入賞した優秀牛はほとんど県外へ旅立ってしまい,今思い出しても悔しい思いがします。一度県外に手放した牛は二度と県内に帰って来ることはありません。
 やがて,体型本位の牛作りから体型プラス肉質の時代と変わり,産肉能力の優れた種雄牛の出現が市場の子牛価格を一変させ大きな影響を及ぼすようになりました。島根県の名牛第7糸桜号がその代表で,ここ十数年島根県畜産農家の受けた利益は大きく,島根全共にも勝利しました。他県では岐阜の安福号,鳥取の糸北鶴号,大分の糸福号などが有名です。島根県が大きくPRしている糸系の血液には,岡山の藤良系が62.5%もあり,まさに岡山牛であることに驚きました。本県では肉質改良を目的に第7糸桜号の精液を導入し,名牛糸藤号を作出しました。本牛は肉質の改良に大きく貢献し,和牛農家にも大きな利益を与えてくれました。
 その後,和牛農家の高齢化と糸藤号に続く種雄牛が出現しなかったこと,牛価低迷等によりここ5〜6年の間に和牛農家の飼育熱が減退し,頭数も減少したことは淋しい思いがします。
 また,ここ数年,農家は少しでも価格の高い子牛を生産しようとして,事業団精液の利用もしてきましたが,紋治郎号や北国号は僅かしか入手できないことが問題です。
 さて,最近の話題は何と言っても,糸藤号以来長年和牛農家がまちわびていた産肉能力の優れた種雄牛が,続いて2頭も作出されたことで,全国的にもめずらしく,第2富藤及び藤花号とも上位レベルの育種価に評価されております。これらの精液の利用により,本県の和牛が能力的に一層改良されれば,昔の和牛王国も夢ではなく,家畜人工授精師協会としてもたいへん喜んでおります。
 県におかれましては,ご苦労でありましょうが,一系統だけに留まらず,3〜4系統の種雄牛の作出にも引き続き努力いただきますようお願いいたします。
 最近の子牛市況は,中国地区で久世市場が一番高値となっており,生産意欲の高揚に良い影響を与えています。12月の久世市場には広島県の方が貸切バスで市場見学に来られていましたが,これを見ても他県が注目していることは確かです。
 また,平成9年に岩手県で開催される「第7回全国和牛能力共進会」に向け,岡山県関係者も着々と準備を進めておられますが,第2富藤号や藤花号をはじめとする岡山和牛の真価が問われるのもこの全共であります。名声復活の絶好のチャンスでありますので,関係者一丸となって,岩手全共の勝者にならろうではありませんか。
 最後になりましたが,担い手が不足していくなかで,特に大切なことは人作りです。人作りをすれば自然に牛作りができますので,皆様方も身近なところから,後継者作りに励んでいただきたいと思います。
 厳しい情勢の続いているなかで明るい話題を聞き,家畜改良にたずさわる関係者として,最近の感想を述べるものであります。