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「声」

中山間地域活性化への取り組み

−消費者への積極的なアプローチ−

越畑ふるさとセンター      
センター長  児 玉   通
(津山地方振興局)

 私は,岡山県北部の鏡野町越畑で岡山地どりを飼育しております。

 私は元々15年間程採卵鶏を飼育していたのですが,地どりの飼育を始め特産品として販売していこうと思いついたのは今から約10年程前のことです。当時,私の住んでいる鏡野町の活性化を目的とした「越畑ふるさと村」ができ,町の新たな特産品とし何かないかと考えていたところ,たまたまテレビで九州の地どりの紹介がありました。その後,現地まで足を運んで試食したところ味にコクがあって本当においしいと感じ,これを町の特産品にしようと考え,関係機関に相談しました。

 さっそく「名古屋コーチン」を導入して飼育を始め,地どり特有の飼育ノウハウを勉強するため九州にも何度か足を運んで研究しました。それと同時にこの味をより多くの人に知ってもらうため,「越畑ふるさとセンター」の食堂のメニューに加えるとともに,県内各種イベントに出店したりするなどしてPRに努めました。

 その後,県総合畜産センターで岡山地どりが作出されたのでこれに切りかえ,飼育規模を延べ3,000羽程度に拡大しました。決では,需給調整しながら年間約4,000羽程度導入しております。飼育日数は一般的には,約100日程度と言われますが,私はオスで110日〜120日程度で,メスで120〜130日程度と長く飼育しております。そのほうが,肉色が濃く充実してコクのあるおいしい肉にでき上がります。

 こうして生産した地どりの販売先として,まず,第1に消費者に直接接することのできる各種イベント等に積極的に出店して消費者との交流を図っております。岡山市で開かれる朝市,桃太郎祭りや,津山市の作州よいとこ祭り等のイベントなど精力的に動き回っておりますが,特に心がけていることはその日の採算性よりも越畑まで来てくれるファンをつかむことです。

 第2に,地元の交流拠点として,越畑ふるさとセンターの食堂で地どりをつかった特大のジャンボ串,たたき等様々なメニューを観光客の方に味わってもらっております。寒い時期にはムネ肉のしゃぶしゃぶなどの鍋ものも人気を集めております。また,最近この越畑ふるさとセンター前に,いろりを囲み,ひらめや餅と一緒に地どりを焼いて風流を楽しむことのできる「竹庵亭」という竹作りの庵を作り,地どりの普及に役立てています。越畑ふるさとセンター・竹庵亭には,私が出店したイベント等で顔見知りになった地どりのファンが訪ねてくれることもります。

 今後の目標として,県内だけでなく町の特別村民制度などを利用して県外にも消費活動を展開したいと思っています。そのためにも,ある程度長期保存がきくような加工品の開発を研究しています。

 最後に,最近中山間地域の活性化が叫ばれていますが,味にこだわり消費者へのアプローチを続けていけば,必ず活路は見いだせると思います。ぜひ一度,越畑においでください。