岡山畜産便り96年7月号 性周期同調剤(イージーブリード)を活用した発情コントロールについて

ホーム岡山畜産便り > 岡山畜産便り1996年7月号 > 性周期同調剤イージーブリードを活用した発情コントロールについて

「技術のページ」

『性周期同調剤(イージーブリード)を
活用した発情コントロールについて』

岡山家畜保健衛生所
(文責 平野 充生)

 イージーブリードとは
 本品は,黄体ホルモンを特製タンポンにしみ込ませたもの(プロゲステロン放出膣内挿入製剤)で,牛の膣内に一定期間(12〜15日間)挿入しておき抜去後4日以内に集中して発情を起こさせ,発情期を除き性周期に関係なく処置できる優れものです。
 もともと季節繁殖を行うニュージーランドで開発され,国内でも(社)家畜改良事業団等の臨床試験により良好な成績が得られたことから,性周期同調剤として使用が認可されました。酪農雑誌等でも紹介があり,既に活用されている臨床獣医師の先生もおられ,本品の名称や効能についてご承知の方も多いかと思います。

 繁殖効率改善実証展示事業
 繁殖管理の効率化の実証と本技術の普及定着を図る目的で,平成8年度全国12道県35事業主体で繁殖効率改善実証展示事業(地方競馬全国協会補助事業)が計画され,岡山県でも加茂川町と富村の公共育成牧場及び北海道桜野牧場で実施予定ですので,実物や使用方法について参考にしてください。
 去る5月30日,加茂川町ストックファームに於て本事業のブロック会議が開催され,実際に牛を用いた技術指導が行われたので,紹介します。

 装着・抜去方法
 (準備)イージーブリード,アプリケーター,ゼリー,ゴム手袋,バケツ,ロープ,消毒薬(逆性石鹸等刺激の少ないもの)

アプリケーターとイージーブリード支持体

 @尾をロープ等で保定
 A外陰部洗浄・消毒
 BT字状のイージーブリードを伸ばしアプリケーターに装着
  (ホルモン剤なので術者はゴム手袋をする)


セットされた状態

 C挿入部先端にゼリーを塗る
 D外陰唇を開きアプリケーターごと挿入
  (人工授精と同じ要領で,斜め上方に挿入した後水平方向に行き着くまで奥に進める)

アプリケーター挿入時
 Eアプリケーターの握り手を握ると,膣深部でイージーブリードが押し出され,先がT字状に開いてセットできる。
 Fアプリケーターを真っ直ぐ静かに抜き去るとひも状のテール部が外に若干出た状態となる。
 (群飼の場合は,他の牛がテール部をくわえて脱落する恐れがあるので,装着後露出部を数センチ程度に切る。)
 G装着期間は12〜15日間で,発情予定日から逆算して挿入日.抜去日を計画する。
 H抜去は,テール部を持って引き出すだけ。

 本品は,獣医師の指示があれば,商品名のとおり誰でも容易に処置可能で,発情のコントロールにより短期間の集中的な発情観察・種付けができ,とくに放牧管理の省力化や兼業等で発情を見逃しの多かった和牛繁殖農家或は大規模酪農経営等での活用が見込まれるほか,ET,共進会等広く応用でき,今後繁殖管理の支援技術として期待されます。

〈注意事項〉

  1. 要指示医薬品

   使用に当たっては,獣医師の処方せんまたは指示が必要。
   (指示書なしで農家の方から直接注文はできません)

  1. 国内総販売元

   6家畜改良事業団 前橋種雄牛センター

  1. その他

   脱落もなく適正に使用したが,期間を過ぎても発情しない場合,牛自体の問題も考えられるので獣医師の検診を受けましょう。