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「輝くひと」(表紙紹介)

勝央町農業後継者若妻「わかば会」

 勝央町農業後継者の若妻グループ「わかば会」は,会員それぞれが夫と共に経営を担う共同経営者,パートナーという新しい農家女性のあり方を追求する活動を展開しているグループです。
 会の結成は昭和52年4月。集落内での若妻が減少していく中、町内の農業後継者グループ(大空会)の若妻が中心となり活動を始めました。現在の会員数は11人で,非農家の出身者で県外から嫁いだ人もかなりいます(自家農業は専業9戸,T種兼2戸。主要作目は酪農7戸,哺育3戸,果樹1戸)。
 平均年齢は32歳。自ら選んで飛び込んだ農家の生活をより魅力的にするために,まず若妻も家業である農業経営を理解することが大切と複式簿記や青色申告の学習に取り組んできました。現在では5人が複式簿記をマスターして、7人がパソコンで経営の経理を担当しています。
 さらに,他産業並みの労働条件とゆとりある農家生活をめざして青色申告の開始とともに「月給制」や,ヘルパー制度を利用した農休日の設定も進めています。また,人工授精師の資格取得,海外研修への参加も積極的にすすめ(ヨーロッパ研修4人,アメリカ研修1人,オーストラリア・ニュージーランド研修1人),経営にその経験をいかしています。
 多くの人たちに,自分たちの「輝いている農村女性の姿」をアピールしようと,グループの機関紙「わかばだより」の発行や新聞,ラジオなどでの提言・主張活動のほか,1人は県下初の女性「就農アドバイザー」となり,農業高校などで話をするなどの活動をしています。
 仲間づくりと地域活性化と,そして何よりもストレス解消にと平成5年から始めた勝央町に伝わる金時太鼓。家族の協力を得て,子供連れで月2回の練習を重ね,岡山県生活改善記念大会や農林漁業活力向上運動推進大会,農村女性の日推進大会,地元の金時祭などで披露してきました。
 坂田金時(金太郎)の終えんの地である勝央町。ここに平成9年に開設される「おかやまファマーズマーケット(仮称)」にむけて特産品開発にも取り組んでいます。特産の牛乳や黒大豆を活用した「金太郎クッキー」,特産のモモやナシ,ブドウなどの果物の樹木を利用した「くだもの染め」にも挑戦して,金時祭やふるさと宅配便で販売,好評を得ています。
 こうした活発な活動が評価され,昨年,全国農業会議所の第19回全農新聞賞,「青年農業グループ活動コンクール」で最高の賞である内閣総理大臣賞を受賞しました。
 彼女たちは,思いを同じくする仲間と,それを支える家族がいて,いきいきと輝く自分を磨く努力を惜しまない,そのことが今日の活動をここまで発展させてきたのだと思います。
 これからは,それぞれ子供の成長とともに畜産や果樹の経営基盤を確立成長させていかなければならない時期に入ってきます。彼女たちがさらに経営のパートナーとしての実力を高め,ゆとりある農業経営を営み,輝く女性に成長していくことを見守っていきたいと思います。