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ここ1年くらいの間に、TVや新聞、雑誌等でインターネットという単語を見たり聞いたりすることが多くなりました。
農業・畜産の業界でも公的機関や各種団体が次々とインターネット上にホームページ(WWWを参照)を開設しています。岡山県畜産会でも、平成8年2月より「おかやま畜産広場」という名称でホームページを開設しました。
すでに体験された方もおられると思いますが、大半の方はインターネットって何?といった感じではないでしょうか。
そこで、今回はインターネットについてと、畜産情報ネットワーク(以下、LIN)についての説明をさせていただきます。
1960年代後半、軍事目的の「ARPAnet」をルーツとしています。これは攻撃を受けた時、一部のシステムが破壊されてもダメージを最小限に抑えれるよう情報を分散して設置し、それぞれを通信で結んで機能を発揮することを目的としたものです。その後、これとは別にNSF(全米化学財団)が、このネットワーク方式に注目し学術を目的としたネットワークを考え、「CSnet」として設立され、後に「NSFnet」として発展しました。NSFnetは、大学間を結んでネットワークをつくり、情報を共有する事を可能にしました。
その後、ARPAnetは、軍事目的部分を分離し「MILNET」として独立し、残りの部分はNSFnetへと吸収されました。また、企業を中心とした「CIX」も接続され、今日の「Internet」となりました。
次にインターネットの機能についてですが、以下のものがあげられます。
コンピュータ同士で文字やメッセージを電子的な形式にして送りあうための手段です。電子メールは、インターネットの代表的な機能の一つですが、その利用はインターネットに限らず、パソコン通信や別なネットワークでも利用されています。現在では、パソコン通信等もインターネットに接続されているので、その範囲はインターネットだけの世界より更に広範囲なものとなっています。また、文字情報でなくファイルも同時に送ることも可能になってきています。
利点としては、どんな遠くでも瞬時に送れる事と、相手の都合に制限されないということです。
欠点は、相手がメールがきている事を確認しなければならない事です。
インターネット上に電子会議室や電子掲示板をつくり共通の話題について複数の人々と情報のやり取りができるしくみのことです。また、各ニュースグループにはFAQ(よくされる質問)といったものが設定されている場合が多いので、質問を投げかける前に確認をしましょう。
共通の話題について関心のある人達同士で情報を交換しあえるしくみで電子メールを使って行います。参加するには、管理者に電子メールを送ってリストに登録をしてもらいます。このリストに電子メールを送ると登録されている人達に同時に電子メールが送られます。
文字、画像、音声、動画等を扱うことのできる情報検索システムで、この仕組みによりインターネットの爆発的普及のきっかけになりました。
WWWの基盤となっているのが「ハイパーメディア」です。この、ハイパーメディア形式の文章は上から下の一般的な文章と異なり、他の文章と結び付いていて文章中をあちこちジャンプでき、自分の好みの順に文章を読んで行くことができます。情報を表示するには「Mosaic」や「Netscape
Navigater」といったブラウザーというソフトを使い、ホームページと呼ばれる「ハイパーメディア」形式の文章を画面上に表示します。
この他にもテレビ電話、コンピューターの遠隔操作といった機能もあります。
1996年4月より、畜産関係団体による「畜産情報ネットワーク」が本格的に稼動し始めました。このネットワークは略称LIN(Livestock-industry
Infomation Network)と呼ばれる、最近、話題のインターネットを利用したものです。
現在、このネットワークで情報提供を行っている団体は、畜産振興事業団、中央畜産会、中央酪農会議、家畜改良事業団、農林水産省畜産局、都道府県(岡山県を含む10道府県でスタート、8年度中に38道府県)です。
主なホームページと内容は以下のとおりです。
中央畜産のページには次の4つのデータベースがあります。
A.畜産文献データベース
畜産に関する月刊誌、学会・研究会誌、国や県の試験場報告等の文献を登録してあり、約300字の内容抄録がついています。
B.補助事業・制度資金データベース
畜産経営で補助事業や制度資金を利用したい時など、どのような資金・事業が利用できるかを探し出すことができます。
C.畜産経営技術Q&Aデータベース
畜産の経営と技術に関する質問とその答えをデータベース化しています。また、後述の畜産会議室のFAQも兼ねていますので、畜産会議室で話題になった記事も、今後収録されます。
D.畜産経営収益性と生産性の状況データベース
畜産会が行った、経営診断や調査事業の内容について、データ組替え集計の結果を収録しています。経営分析を行う時の参考や指標にご利用ください。
前述のネットニュースを使った機能のことで、畜産に関する意見や疑問点を広く一般に掲示することにより、みんなで討論し解決をはかる場所です。利用方法としては、4つのデータベース等を検索し、それでも、解決できない時などに投稿してみてください。
また、利用者間の飼料や肥料の情報交換や、新しい経営技術の情報交換も行う事ができます。会議室は各畜種ごとの会議室と共通の意見交換の5つの会議室があります。
畜産関係の行政情報を紹介。
都道府県ホームページの中にあります。内容としては次の4つの項目を設けています。
「おいしいよ」 県内の畜産物の紹介。県内のヨーグルト、ハム・ソーセージ、卵等の紹介をしています。
「やってるよ」 畜産関係のイベント・催しのお知らせ、家畜市場の開設日程、「まきばの館」の紹介があります。
「かんけいだんたい」 県機関・団体の連絡先を掲載。
「まとめたよ」 「岡山畜産便り」や経営診断のまとめを掲載。
まだまだ、内容としては不足している部分も多いですが、より一層の充実をはかりたいと思います。
インターネットは、学術的な利用から起因しているため、畜産においても試験研究機関においては、早くから利用が行われていました。また、前述のLINや畜産関係団体もホームページによる情報の提供をしはじめました。
これらは、年に数十冊と出されていた発行物も含まれているので、さしずめ電子図書館といったところでしょうか。今後は、蓄積されているデータの充実と公開の即時性、また、検索のしやすさといった使い勝手の面が課題になると思います。
情報を発信しやすく宣伝コストが安いことから、現在でもチーズ等の畜産加工品の販売等が行われています。生産地と消費地の距離を縮め、流通コストを下げれることや、双方向による顧客とのコミュニケーションが図れるところなどのメリットもあります。オンラインによる注文で顧客データの蓄積が容易なので、小人数でも可能です。今後、電子マネーの普及やインターネット利用者の増加に伴い更にニーズが高まっていくでしょう。また、オーナー制度による家畜や農産物の生産もネットワーク上で始まっています。
飼料や資材の購買品の発注、あるいは画面で写真や映像を見て家畜の購入といったこともあるかもしれません。もしかすると、オンライン家畜市場も出現するかも。
現在、機関や団体により各地でいろいろな研修会や講演会が開かれていますが時間の都合や距離の問題もあって参加できない人もおられると思いますが、インターネットでは、テレビカメラによる映像やビデオも、あるいは音声も流す事も可能なので通信研修会・通信講演会といった事も可能かも知れません。インターネットは双方向の通信も可能ですので遠くにいながらにして、質問も可能です。
現在、インターネットによるロボットの遠隔操作といった実験もなされているので、もしかすると、遠隔操作による家畜の診療といった事も、未来にはあるかもしれません。