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(特集)

一般家畜市場における生体流通報告

岡山県経済連(総合家畜市場)    
久世畜産事業所長 三 宅 忠 篤

 今年の農林畜産統計によると,全国の酪農家は昨年より,2,700戸,肉用牛農家は15,000戸減少し,それぞれ41,600戸,155,000戸ぐらいになった。頭数においては,前年対比1〜2%減であり,それほど大きくはないものの確実に減少傾向にある。
 企業的大型経営が主体となっている養鶏では大型経営の規模拡大で減少をカバーしている構図が固まり,豚,乳牛においても同様な傾向になりつつある。
 肉用牛においても,傾向としては同じであり,このように専業的経営においては,飼養管理はもとより,諸々の経営管理で高度な技術・経営能力が要求されるようになり,畜産の生産力を維持,発展させる為には,地域農家との連帯と流通,販売業者や消費者との連携がもっとも必要な時となっている。
 こうした畜産の現状のなか,流通の一翼をになう,生体市場の流通現状を紹介し, 混迷する畜産生産にとって, 一 光明となればと期待しつつ,岡山経済連総合家畜市場の取引状況を紹介する。
 総合家畜市場は県下はもとより,中国・四国・近畿といった,広い地域の家畜流通の拠点として,和牛子牛市場,子豚市場,一般家畜市場を年間約80日,市場を開設している。
 ここでは,あらゆる家畜が上場される。一般家畜市場(毎週火曜日開設)の平成8年4月〜8月の市況を報告する。
 平成8年8月末総入場頭数は8,241頭で売買頭数7,819頭であり売買率95%となっている。一頭当り総平均価格は218,109円である。表Tにおいては5ケ月間の単純月平均値を示す。
 平成8年4月〜8月における1ケ月平均の入場頭数は,1,648頭であり売買頭数は,1,566頭で,売買率95%となっている。入場頭数においては,総家畜飼養頭数の減少により,頭数の増加は見られないものの,売買率においては,年々上昇しており,売れる市場として,関係者に認められている所である。種別の入場頭数割合は,和牛592頭35.9%となっており,雑(F1)は355頭,21.5%であり,スモール牛(初生二ケ月未満)464頭28.2%のそれぞれの入場割合となっている。
 平均価格を見ると和牛416,268円,雑F1 313,158円,乳牛203,052円,スモール76,299円となり,総平均価格は,218,109円で平成7年度平均価格より5,899円高くなっており,前年比102.8%を示しており,食肉の消費不振,価格不況の中で,好成績を出している。
 表Tで示している中で,子牛とされているものは,生後6ケ月〜12ケ月未満の物であり,その価格は,体重等から予測される価格に比例した価格形成がなされている所であるが,成牛については,体重表示がなされないものなど,種々,雑多の牛がおり,それぞれの種別,年令,体重などから予測される価格とはなっていない。
 そこで系統から出荷され,体重表示もされ,種別,年令区別も,ある程度なされた成績を紹介する。
 系統から出荷された成牛は1ヶ月平均115頭であり,全体の13%に当り,頭数的には,少数ではあるが,種別,性別,未経産,経産牛と,よりこまかく区別され,それぞれの価格帯が明確に表されており,平均体重,平均価格,平均s単価も示されており,それぞれの予想歩留より,枝肉推定価格等も予測されている。この表の数値が平均的指標となりうるものと思うところである。
 以上平成8年々度途中の生体市場における,流通販売状況を報告した所であるが,生体一般家畜市場という所は,どんな家畜でも売買が出来るというのが一番の特徴であり,報告では牛のみを報告したが,馬,山羊,羊といった,家畜も少数ではあるが取引されている。
 それに冒頭でもふれた様に,生体市場においては,生産者,流通,販売業者が同一場所で一丸となって,畜産情勢を語り,生産技術等,様々な情報を交換する場として,現状の畜産生産の維持,拡大につながる,大きな,役割をはたしているものと確信する所です。又時には来場者に消費者としての認識を持ってもらうべく,肉,卵,ジュース等を販売し,県産物の消費拡大にも協力戴いているところです。
 この様に自由でだれでも入場でき,売買の出来る市場を,生産者の皆様,流通業者の皆様が,より以上利用し,その利用価値をさらに高めて戴きたいところです。家畜がより多く集まり売買される事が市場価値の向上にほかならないからです。又関係諸機関におかれましても,情報伝達の場として家畜市場をご利用いただければ幸いと念願しつつ,家畜市場現状報告といたします。