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海外研修生の紹介

岡山県総合畜産センター  
 谷 田 重 遠

 平成2年以来,畜産センターでは5,6人目になる2人の海外研修生を受入れています。7月中旬から約2カ月を経過し,今では畜産センターでの生活にようやく慣れてきたところです。
 岡山県の海外研修生として,インドネシアから来ているイ ニョウマン スアスタさんとパナマから来日しているインディア メラニア サパタさんです。2人とも国家公務員で,現地では,日本の農業改良普及員と同じように農家の指導が主な業務とのことです。

(イ ニョウマン スアスタさん)

 1962年生まれで,中学校の物理の先生をしている奥さんと昨年9月に結婚したばかりの来日となったそうです。インドネシアにいたときから,日本語に大変興味があって,一時は日本語の通訳になりたいと思ったこともあるそうです。8月末に開かれた,知事の歓迎会に研修生を代表して彼が挨拶をしました。
 彼はバリ島の出身で,現地にはバリ牛と言う貴重な牛がいて,この牛は島の外に持ち出したり,他の牛を持ち込むことも禁止されているとのことです。バリ牛の価値は,「角の形」が大きく影響するので,交配する種牛も角の形がポイントになってくると言っています。
 「畜産センターで,和牛の矯角の技術を習得して帰れば,一財産出来るよ」と冗談を言うと,彼も「そのつもりだ」と笑って答える好青年です。日頃の生活態度は,非常にまじめで我々も見習う点が多い海外研修生です。

(インディア メラニア サパタさん)

 彼女は,畜産センターで初めて受け入れた女性の研修生です。海外青年協力隊(JAIKA)の推薦で岡山県の海外研修生になりました。
 来日するまで全く日本語が判らず,2週間程度の日本語研修を終えて畜産センターにやってきました。研修開始まもなく緊張もあっておなかの具合が悪くなり病院にも行きました。センターの職員が親切に対応したことで,日本人はみんな親切でやさしいと強く感じたそうです。日本語の勉強も熱心ですから,今では,簡単な日常会話は出来るようになっています。
 丸顔のチャーミングな彼女は,いつもにっこり笑顔で答えてくれる気持ちのやさしい女性です。日本での最初の食事が成田空港の寿司で大変美味しかったそうで,それ以来日本食のファンになったとのことです。
 2人とも,それぞれ大学の農学部を卒業して5〜6年,母国で農家指導を経験しています。畜産センターでの最初3カ月は,日本語の勉強を中心とした研修計画にしています。しかし,日本と比べ肉牛の初産月齢が,1年以上長いとか,母国の1頭当たりの乳量がセンターの乳牛に比較して非常に少ないなど,畜産に関する話題が出るようになってきた今日この頃です。我々畜産センターの職員も研修の終了する来年3月には立派な海外研修生として帰国し,それぞれの国で大いに活躍してもらえるものと期待しています。
 10月下旬には,中国江西省から研修生を迎えることになっており,畜産センターの国際化に果たす役割はますます高まり職員一同張り切って対応しています。