ホーム>岡山畜産便り > 岡山畜産便り1996年11・12月号 > 心は二十歳〜輝く農村の母 |
賀陽町は吉備高原都市の西部に位置し,岡山自動車道の建設,吉備高原都市の開発などが進められ,めまぐるしく発展しつつある町です。
畜産は町の主要産業の1つで乳用牛,肉用牛あわせて3000頭以上が飼養されています。
約100頭の広いつなぎ牛舎にはホルスタイン,F1と和牛の肥育牛,繁殖和牛など色々な牛がいます。経営形態でいうと酪農,繁殖,肥育の複合経営ということになりますが,その他にも子牛の隣には顔の黒い羊が7頭おり,さらに飼育畑の一角にある鶏小屋には烏骨鶏などの鶏がいます。
勝江さんは毎朝ご主人と二人で搾乳作業,飼養管理作業を行ったあと子牛の哺育や羊,鶏の世話をしています。大型機械を使っての飼料作はご主人の担当ですが,サイロの詰め込み作業などの人力作業には勝江さんが主要な戦力となっています。
勝江さんは結婚してからご主人と二人三脚で農業を行うとともに,3人の子供の育児,家事をこなし,毎日忙しい日々を過ごしてきました。そんな中で,せっかく田舎で農業をしているのだから,それを活かしてもっと生活を楽しみたいと考えるようになりました。
そこで,雑誌に載っていた羊の記事をきっかけに6年前から羊を飼い始めました。もっとも手芸が好きだったこともあり,なんとか自分の飼っている羊の毛を使って製品が作れないものかと考え,農協牧場で行われているアンゴラ山羊の糸紬に参加したり,レアシープ研究会という羊の研究会に参加したりして羊毛加工を始め,今までに家族のセーターやマットなどを作りました。
また,健康によいと聞いて烏骨鶏を飼ったり,有機無農薬の野菜や果樹の栽培,収穫したリンゴやナシのジャム作り,ハーブの栽培などなどいろいろなことに挑戦しており,農家ならではの生活をおおいに楽しんでいます。
5 これからの夢
勝江さんは一昨年羊の国際会議に参加するためイギリスに渡り,昨年は北海道の牧羊家を訪ねていったりと,世界や日本の各地から情報を収集しています。再来年は同じ会議が開催されるオーストラリアに行く予定で,デンマークなど北欧にも行ってみたいと意気盛んです。
好奇心が旺盛で行動力も抜群の勝江さんは,羊関係以外のいろいろな催しや会合にも参加しており,都会の非農家の方の知り合いも増えました。最近は訪ねてくる人も増え,牛乳や手作りの品をご馳走すると,大変喜ばれるそうです。
そこで勝江さんは,こんなに喜ばれるなら,家に来てくれる人だけでなく,町に住む多くの人達に家で作ったものを少しでも分けて上げられたらと考えるようになり,果物や加工品の増産と直売所などでの販売,生乳の加工販売などを現在研究中です。「考えるのは簡単だけど,実行するのはなかなか」と勝江さんは苦笑していましたが,お気に入りのお多福の面を手にして,同じ様なにこやかな笑顔で語る勝江さんはバイタリティーにあふれ,夢を必ず実現する力強さを感じました。
乳用牛 | 29頭 |
繁殖和牛 | 9頭 |
肥育牛 | 22頭 |
羊 | 7頭 |
烏骨鶏 | 5羽 |