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“岡山県産乳質はここまで来ている”

岡山県家畜畜産物衛生指導協会

 岡山県で生産される生乳の格付検査は,S60年から岡山県家畜畜産物衛生指導協会で実施していることはご承知のことであります。
 前回の投稿では生乳中の細菌数30万以下が99.3%に達したことを報告しましたが今回は岡山県内産のホルスタインの乳成分についてお知らせします。
 酪農経営において乳牛の生産性・改良度を知ることは重要であり数多くの方策がありますが,今回当協会が実施している生乳検査項目の中の脂肪・蛋白・無脂固形分について過去10年間における検査成績から岡山県の生乳がどの程度なのか全国平均・北海道平均と比較して見ました。(図1,2,3,参照)
(1) 脂肪率。岡山県ではS60年に3.60%であったものが毎年順調に推移しH7年には3.80%に上昇している。これを全国平均・北海道平均と比較してみますと,S62年までは全国・北海道に劣っていましたが,以後順調に上昇しH7年度は県内産生乳は全国平均並になっています。
(2) 蛋白質。S60年に3.02%であったものがH7年度3.17%に上昇しています。
  H元年度に一時低下していますが,他の年度は全国平均並かそれ以上で推移しH7年度は全国平均より0.01%県内産生乳が優っています。
(3) 無脂固形分。S60年度に8.44%だったものがH7年度8.63%に上昇しました。脂肪・蛋白質とは反対にH3年度に全国・北海道平均に接近したものの,他の年度は県内産生乳の方が0.03〜0.05%低く今後の経営改善が望まれます。
 以上の結果で結論を出すことはできませんが,岡山県産生乳は全国平均又はそれ以上の高品質乳になってきた事が伺えます。
 このことはS41年に始まった生乳格付検査により成分取引(脂肪)に移行したことで各酪農家の経営改善・乳牛改良に対する意欲の高まりであり敬意を表するところであります。しかし,今回の成績は合乳による検査結果であり,数多くの乳牛の中には乳成分の低い個体がいると思いますので,今後も個体の選抜淘汰が必要だと思います。
 近い将来,成分取引(脂肪・蛋白・無脂固形分)に移行すると言われています。
 また,消費者から『おいしいバランスの取れた牛乳』が求められています。
 乳成分を上げるとともに高品質乳を生産し経済効果を求めることも重要ですが,牛の健康も考えた酪農経営を行うことが今後の課題だと思います。