岡山畜産便り97年2月号 ソルガムロールベールサイレージの調整について

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「ソルガムロールベールサイレージの調整について」

総合畜産センター 長 尾 伸一郎

 省力的で,耐天候性の高いロールベールサイレージ作業体系は,牧草類をはじめ牧草に比べ粗剛なソルガム類,暖地型牧草類にも用いられています。今回は,スーダン型ソルガムを含めたソルガム類のロールベールサイレージ調製法についてそのポイントを述べてみます。

1.スーダン型ソルガムのロールベール適正

 最近,スーダングラスより,稈径の太いスーダン型ソルガムがロールベールサイレージ調製されるようになっていますが,スーダン型ソルガムのなかでもヘッドレスタイプといわれるほとんど出穂しないものは,発酵品質,飼料成分ともほとんどスーダングラスと変わらず,収穫適期が長くかえって有利になることもあると考えられます。

表1 スーダンとスーダン型ソルガムの比較
  水分 CP ADF フリーク評点
スーダン 69.1 9.8 40.7 90
スーダン型ソルガム 70.5 9.9 39.0 86
品種  スーダン:ヘイスーダン
    スーダン型ソルガム:ウルトラソルゴー

2.スーダングラスの播種量

 播種量を増やすと,稈径は細くなりますが飼料成分,サイレージ発酵品質に,違いが認められないため,倒伏,種子代などの面から常法の0.5s/a程度でよいと考えられます。

表2 播種量と稈径・飼料成分
播種量 稈径 CP ADF TDN
0.3kg/a 4.3 5.8 43.7 52.0
0.5 4.1 6.8 44.2 52.2
0.7 3.2 5.8 45.0 53.7
品種  ヘイスーダン
(注)ADF:酸性デタージェントファイバー
   TDN:1日予乾調整の緬羊による試験

3.収穫適期

 ソルガム類は,出穂すると繊維成分が,多くなり,栄養価,サイレージ発酵品質の低下の原因となります。そこで,収穫は,出穂始めまでに行うことが好ましいと考えられます。
 また,収穫適期が,梅雨明けになるよう逆算して,播種時期を決定しておくと良いでしょう。

4.予乾程度

 サイレージ発酵品質は,予乾で向上します。
 また,予乾程度は,サイレージの飼料価値にも影響を与えます。飼料価値は,栄養性,嗜好性(採食量)により評価されます。
同じ材料草を,乾草,1日,2日予乾ロールベールサイレージに調製し,その飼料価値を比較しましたが,調製に1週間以上を要した乾草よりロールベールサイレージの方が良好でしたので予乾程度は2日が良好と思われます。

表3 予乾程度と飼料価値
予乾程度 水分 DMI DCP TDN
1日 66.2 1.88 5.7 53.9
2日 49.2 2.06 6.7 55.2
乾草 15.6 1.56 2.9 50.4