岡山畜産便り97年2月号 第8回 岡山県 花・果樹・野菜視察団「トルコの旅」に参加して

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「ひろば」

第8回 岡山県 花・果樹・野菜視察団「トルコの旅」に参加して

岡山県高梁家畜保健衛生所 荒 木 光 治

 かねてから,歴史的にも景観的にもすばらしい国へ出かけてみたいと思っていたところ,昨年11月の標記旅行に参加する機会を得ました。
 トルコ近辺は,麦類やブドウをはじめ現在栽培されている農作物の原種が多いところとして知られています。
 トルコ最大の都市イスタンブールは東洋と西洋の境で,かつてはローマ帝国,ビザンティン帝国,オスマントルコ等に支配されたため,様々な人種や文化が混ざりあい文明のバームクーヘンと言われるほど現在と過去とが調和する魅力的な街でありました。
 また,カッパドキアはキノコ状の奇岩群に代表される不思議な景観や幾層にも掘り下げられた地下都市などトルコ最大の見どころでまさに圧巻そのものでありました。
 これらについては下手な文章ではとても紹介できないので,この旅行中に食べた畜産物などについて2〜3ご紹介します。

その1
「食通の国トルコの白チーズの味」

 トルコ料理は世界3大料理に数えられるほどで,遊牧民の料理と地中海料理がベースで,素材を生かした料理が多くたいへん美味しいという。
 どのホテルでも朝食にフレッシュタイプの白チーズが出てきた。塩辛いが乳酸菌を使っているのか適当な酸味があり,臭いや癖もなくて食べやすく美味しかったのでアンカラのバザールで買って数日後帰国した。
 購入後1週間程たっていたが,さっそく職場で試食した。製造過程に加熱処理がないのか,発行が進み既に異臭がし,少し舌を刺すような味に変わっていたが食べられない程ではなかった。たまたま県庁からの来客がいたので少しおすそ分けをし、後日感想を聞いたところ,「あのチーズは強烈な臭いで,何とも言えない味がした。さずが東洋と西洋の境の国の産だけあり珍味であった。」との返事だった。食べたのが更に1週間ごとのことで,だれも下痢をしなかったのが幸いであった。
「食通の国トルコの白チーズの味」
「食通の国トルコの白チーズの味」

その2
「麦の原産地の美味しいパンとケバブ」

 麦の原産地はトルコの周辺で,中心部のアナトリア高原には道端に何種類かの野生の麦が見られる。パンも麦の適地にふさわしく,何処で食べても,どの種類のパンもたいへん美味しかった。また果物の種類も豊富で,ホテルの朝食には多種のパンと,バター,白チーズ,オリーブ,ジャムはサクランボのほか6〜7種類の鉢が並べてある。
 この国では,肉の串焼きをケバブと呼ぶ。シシ・ケバブは日本の焼きとそっくりで,ドネル・ケバブはロール状に固めた肉をチクワのように回しながら焼き,焼けたところから削って食べる。固い肉を美味しく食べる一つの方法であろうと思った。


「シシケバブとピラフ」

その3
「豚肉を使っていないトルコのハム」

 国内線の飛行機では機内食に軽食が出るが,そのハムには左の紙が添付されていた。国民の99%がイスラム教で豚は食べない習慣だと言う。そう言われれば,味も昔食べたいろいろのものを混合した安物のハムのような感じであった。アンカラのバザールで,友人と「トルコにも,よーけ豚足を売っとるなー」「ほんまじゃのー」と見たあの足の山はいったい何の動物のものであったのか。どうも羊であったようだ。
 この国で豚を見るには動物園へ行かなくてはならない。

その4
 「酒にピッタリの牛肉ハムと干ぶどうから作った焼酎ラク」

 一般市民が行く食料品のバザールは,品揃えも豊富で品質も良好のようであった。ハム店の天井から牛肉で作ったハムがぶら下げてあり、このハムは乾燥肉に似て水分が少なく,外側はニンニクやトウガラシの混じったペースト様のものでコーティングしてあり,冷蔵庫に入れなくても1年ぐらいは保存ができるという。シワイが味はなかなかのもので,酒のアテには最高とのことである。
 酒と言えば干ぶどうから作ったラクという焼酎がある。独特の臭いと水で割ると白く濁るのが特徴で,アルコール分は45度ときつい。


「天井にぶら下がっている牛肉ハム」

その5
「酪農家でもらったトルコ風ネギ焼き」

 古代遺跡の宝庫エーゲ海沿岸で,最大で最高に美しいエフェスの都市遺跡を訪れた。観光バス駐車場近くに酪農家があったので,どんな人がいるかと納屋をのぞくと,よく太ったいかにもお人好しと見えるお母さんがいたので一緒に写真に写ってもらった。
 そのとき嫁ぎ先から娘の一家が来たので,同行の人達と一緒に記念撮影をしそれを送ることとなった。バスの出発間際,トルコ人ガイドにこのお母さんが新聞紙に包んだものを手渡した。中には小麦粉を練って薄く焼いたものにネギのような野菜がふりかけてあり,一口食べるとオリーブオイルの臭いと塩味がし,けっこう美味しかった。これはお母さんが娘たち家族のために作ったものだが,写真のお礼にと我々一行にくれたのであった。


「ねぎ焼きをくれた家族」