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「声」

酪農を生きる

津山市酪農家 永 礼 幸 雄

 私は津山市内で,酪農を営んでいます。今,酪農をとりまく環境は大きく変動していますが,今後の経営方針について自分なりの考えを述べてみたいと思います。
 私と妻と後継者である息子の3人でともに成牛52頭,育成牛23頭飼育して経営に取り組んでいます。平成7年度に低コスト,省力化,労働時間の短縮等を目指してフリーバーン牛舎を自分で設計し導入しました。しかし,過剰投資は禁物で現状施設の有効利用を第一に考え,全て自己資金で行いました。
 その結果,牛のストレスが解消し,能力が向上しました。他にも飼料管理,ふん尿処理の省力化,搾乳時間の短縮が図られ,ユニットの運搬の手間も省けました。また,息子が後継者として経営に参加するようになったので,飼養頭数も増やしました。
 フリーバーンにしてから1頭当たりの産乳量も少しは増加しましたが,その事が最良とは思っていません。乳量を追求する余り,「牛を飼う」と言うよりは「牛に飼われる」というような感じになってしまい,そのために余計な神経を使うようになってしまいます。搾乳量も10,000sを目指すようなことはしないで,コンスタントに8,000〜9,000s搾れれば良いと思っています。
 フリーバーンにも長所ばかりでなく短所もあります。今まで繋ぎで飼育していた牛が,フリーバーンになってから急に歩くことにより,脚や蹄の病気が一時的に増える傾向も見られました。
 市街化の進む私の町内でも,酪農家は私1人になってしまいましたが,いつも地域への貢献を心掛けるようにしています。特にふん尿処理については,立地条件,労働力にあわせた規模で,対策に万全を期して取り組みたいと思っています。
 ふん尿処理はモミガラを用いておこなっていますが,出来上がった製品の7割程を販売しています。特に地元の家庭菜園向けの販売量が多く,車を持っている人は私の牛舎まで堆肥をとりに来てくれる人もいます。堆肥の良さを分かってもらいたいので20年前に販売を開始してから,ほとんど値段は変えていません。地域への貢献を第一に考え,利益は無くても年間の処理経費分だけ売れたらそれで十分だと思っています。消費税が上がっても変更する予定はありません。
 妻は農業士としてサークル活動等に参加し,息子も認定農業者として地域活動に取り組んでいます。これからも,家族ぐるみで地域活動に参加していきたいと思っています。
 終わりになりましたが,現在,輸入自由化等の影響により日本でも牛乳,乳製品の消費が増えました。しかし,アメリカやヨーロッパに比べると日本の消費量は少なく,欧米の3分の1程度だとも聞いています。これからは,我々生産者も消費者との交流に積極的に参加して牛乳の普及,啓発にとりくんでいくことが大切だと思います。皆さん,いろいろと厳しい状況ではありますが,力を合わせてがんばっていきましょう。