ホーム岡山畜産便り > 岡山畜産便り1997年5・6月号 > 酪農に青春をかける

〔声〕

酪 農 に 青 春 を か け る

(兄弟6人で3牧場を経営)

岡山地方振興局畜産係

建部町品田・有安牧場

 有安牧場は,昭和42年,旧興除村から正夫さんが,現在の建部町品田へ入植されたのが始まりとのことです。
 現在では,搾乳牛55頭,育成牛25頭を飼育する大規模な酪農経営を行っておられます。
 この正夫さんには,7人の息子さんがいらっしゃり,七男の高校生を除いて6人全員が酪農に従事されています。厳しい酪農情勢の中で,酪農に青春をかける兄弟6人の皆さんに,意気込みを聞かせて頂きました。
1.現   況
 7人の息子さんを紹介しますと,長男章徳さん(36才)を筆頭に二男寛徳さん(34才),三男禎憲さん(32才),四男健輔さん(28才)五男靖夫さん(26才),六男史典さん(23才),七男信弘さん(16才)です。
 長男,二男は,正夫さんの牧場の後継ぎとして,経営に従事されており,三男,四男は,平成元年,農地保有合理化促進特別事業により,建部町鶴田(若松団地)の離農跡地へ入植され,搾乳牛48頭,育成牛11頭を飼育されています。また,五男,六男も,同事業で,昨年8月,若松団地の離農跡地へ入植され,搾乳牛46頭を飼育されており,兄弟6人で3牧場,185頭を飼育する県下有数の規模を誇る酪農一家となっています。
2.経営上のポイント
 他の人には真似のできない豊富な労働力を生かし,粗収入の増加と経営のコスト低減に全力を注いでいるとのことです。
 第一に,搾乳は3回搾乳とし,乳量の増加に努めています。
 第二に,粗飼料は,ほとんどを自給粗飼料で補っている。3牧場併せて22ゥの牧草地には,冬作はイタリアンとエン麦を夏作にはスーダンを栽培し,サイレージとしてロール及びタワーサイロへ収納している。作業は6人の共同なので大変能率があがり,この時ばかりはお互いが頼もしく思える。
 第三に,自給粗飼料の調整用機材は,平成元年から2年にかけて,円高で多くの酪農家が栽培を中止し手放した中古品を購入し,コストの低減に努めている。
3.酪農の魅力について
 酪農は,技術の進歩がめざましく,確立された経営というものがないだけに,常に努力が要求される厳しさはあるが,逆にそれを乗り越えていくことが,魅力でもある。自分の考えが生かせることに,サラリーマンにはない魅力がある。
4.今後の豊富
 これからの酪農は,環境にやさしい経営を目指す必要があることから,飼育頭数をあまり増やすことを考えないで,環境整備にも力をいれながら,乳牛改良や受精卵移植の活用により1頭当たりの泌乳能力と乳成分を高める努力をしたい。
 さらに,現在補助事業で取り組んでいる草地の造成改良等により自給粗飼料の増産に努め,コストの低減を図っていきたい。
 春は新緑,秋は紅葉が美しく,小鳥のさえずりも聞こえ,また,若松団地に上がれば,旭川ダムや雲海,さらに晴天の日には,蒜山も一望できる自然の美しい中で,夫婦で力を合わせ酪農をするのが夢であると話して下さいました。
 兄弟6人全員が,酪農の後継者として,一途に酪農に取り組まれている姿を見させて頂き,大変敬服させられるとともに,将来の畜産に希望を感じさせられました。                          
(左から靖夫,禎憲,章徳,寛徳,健輔,史典さん)