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「畜産センター便り」

平成9年度試験研究課題

岡山県総合畜産センター

 今日の農業・畜産技術は生物生産科学として著しい発展をみています。特に,バイオテクノロジーとして位置づけられる分野は,今後の可能性が注目されているところです。一方,農業の持つ“自然,空気,水,動物”といったイメージは,21世紀のキイワードと言われる「エコロジー,環境」と共通し,新たな価値を生み出す産業と期待されています。このように,農業・畜産は多種多様な状況のなかで地域,経営者個々の特性を発揮した経営の確立が求められています。
 そこで,岡山県総合畜産センターでは,これらの情勢に対応し,畜産農家のみなさんの要望に沿った試験研究を推進するとともに,地域の課題として平成9年度,次のような研究を重点的に取り組む計画です。

1.受精卵移植などバイオテクノロジー関連
 超高能力乳用牛の受精卵譲渡については,既に酪農家のみなさんのご理解を頂いているところです。また,本年度から受精卵を効率よく活用するため超高能力牛の判定受精卵を移植した初妊牛の譲渡もあわせ計画しております。さらに,究極の受精卵技術と言われる「クローン牛の作出」については,農林水産省の畜産試験場に研究員を派遣し,本格的に取り組む計画です。
 和牛の受精卵子牛の初期発育に関する試験の充実を図り,受精卵移植による和牛生産の課題に対応していくこととしています。また,岡山和牛の系統を遺伝子のDNAレベルで育種改良を検討するための研究など改良促進を図ることとしています。
 昨年度末,イギリスから種豚を導入いたしました養豚関連では,これまでの人工授精技術を効果的に行うため,凍結精液の実用化研究をすすめています。

2.家畜のふん尿処理など環境関連
 試験研究に対する要望のなかで,最近急激に環境関連の課題が増加しています。特に,家畜の尿・畜舎汚水と悪臭に関するものが多いと感じています。そこで,本年度から廃棄物を利用して簡易な施設で汚水を処理する「生物膜法による処理技術」の検討を行うとともに,悪臭については,尿散布時の臭気低減の課題を予定しています。
 オカラなど食品産業の副産物の合理的な飼料として活用し,廃棄物の減量と購入飼料費の削減を図るための研究を蒲ム原生物化学研究所と共同で昨年に引き続いて実施します。また,中山間地の振興と地域の景観保護などを含めたシバ草地管理と肉用牛の放牧をテーマとした研究を行っていきます。

3.地域性豊かな畜産・畜産物関連
 チーズに代表される畜産加工では,サンポーランチーズの研究,低利用牛肉加工法の検討を行います。また,おかやま地どりは素びな供給とあわせ生産性向上の研究を行い,烏骨鶏の肉利用や特色ある卵の生産など地域性豊かな畜産物の研究を行います。
 一方,西南暖地に位置する県南地域での高泌乳牛飼育に対応した暑熱対策と栄養管理の試験を本年度から,地域の酪農家のみなさんと協力して実施したいと考えています。
4.和牛の種雄牛づくりなど改良関連
 岡山和牛の種雄牛づくりは,育種価評価を取り入れ,候補種雄牛の選抜に努め,ここ数年順調な成績を得られました。本年度は4セットのフィールド検定を含め,和牛農家のご理解を得て一層効果的な検定をすすめていきたいと考えています。
 乳牛の超高能力牛の受精卵による改良,おかやま黒豚の凍結精液及び輸入種豚による改良は,先に述べましたように一層効率的な実施に努めて行くこととしています。