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1.はじめに
東は兵庫県に近く,北は鳥取県境と接する勝田郡奈義町は,昔から畜産の町として歩んできて,今では畜産が町の農業生産額の6割を占め奈義町農業の基幹作目となっています。
酪農では,平成3年より畜産基盤再編総合整備事業に取り組み,規模拡大が図られてきました。また,平成5・6年度環境保全型畜産確立対策事業により,西日本随一の有機センター施設を建設,畜産農家の環境保全対策の負担軽減が図られる等,県・町・農協の支援体制も整っている地域です。
今回は,奈義町中島西で小童谷規夫・三美恵牧場の搾乳主任として,パートナーシップを発揮しながら,キラキラと輝き,夢を実現すべく頑張っている小童谷三美恵さんを紹介します。
2.牧場の概要
進入路にはマーガレット・バラ・カーネーション・さつき等の花が咲き乱れ,また,梅雨の頃はショウブやアジサイが見頃になる花いっぱいの小童谷牧場は入り口の看板がユニークで,人目を引きます。(写真2)
昭和31年に乳牛1頭から酪農を始め,順次拡大し,53年に御主人が就農(57年結婚)平成5年,116頭のフリーストール牛舎等を現在地に(公社営事業)移転し,経営の基盤はほぼ整った状態です。
経営の概要と家族の状況は以下のとおりで,作業担当を各人に割り振り,責任と報酬(給料)を明確にした運営管理システムが特徴です。
乳牛(育成牛含む) | 140頭 | |
飼料作付 | イタリアン | 800a |
スーダン | 800a |
フリーストール牛舎 | 1棟(116頭) |
ミルキングパーラー | 一式(6pw) |
バルククーラー | 1基(4.200L) |
糞尿処理施設 | 1棟 |
飼料庫・農舎 | 各1棟 |
トラクター | 3台(104,80,48ps) |
ロールベーラー | 1台 |
ラッピングマシーン | 1台 |
フィードミキサー | 1台(14u) |
ホイールローダー | 1台(1.3u) |
ダンプカー | 1台(10u) |
(続柄) | (年齢) | (担当作業) | (経験年数) |
経営主 | 37才 | 酪農全般 | 17年 |
妻(本人) | 35才 | 搾乳作業 | 12年 |
義母 | 62才 | 哺乳環境美化 | 40年 |
長男 | 12才 | ||
二男 | 8才 | ||
長女 | 10才 | ||
二女 | 4才 |
3.酪農との係わりと役割
勝央町の酪農家に生まれた三美恵さんは,高校の商業科を卒業し大阪の銀行に勤めていましたが,縁あって小童谷牧場に嫁いで13年,今では縦7m横2mのパーラーのピットが彼女の城であり,全責任を任された仕事場です。ここで12台のミルカーを使い100頭ほどの搾乳を朝・夕2時間ずつ行っており,乳房を見るだけで,その牛の検定番号が判るほどです。毎月20日が給料日で,三美恵さんは基本給と出荷乳量1s当たり1円の歩合給をもらえることになっているので,搾乳にも力が入るそうで,乳量計の目盛りが気になるところです。
また,経営簿の記帳や青色申告等は御主人と二人で協力して行ってきたとのことですが,最近パソコンを導入,複式簿記に取り組み,経営の状態が計数的につかめるようになって,より日常の管理作業の大切さとコストを意識するようになったと話しておられました。
4.余暇とこれからの夢
普段は毎日10時から16時までが自由時間で,家事やテレビ等でゆっくり過ごし,子供が休みのときや夏場にはヘルパー制度等を利用して家族そろって出かけ,お互いのコミュニケーションを図るそうです。
また,町内の青年農業者の若妻会での活動や,PTAで知り合った異業種の仲間との家族付き合いは,日頃の仕事,生活,地域,社会,子供のことなど,いろいろ聞けたり,話し合ったりできるので,とても楽しみだそうです。
116頭のフリーストール牛舎を早く搾乳牛で一杯にし,1ケ月の販売乳代金1千万円を目標に,将来は雇用も入れ,週休2日制の明るいファーマー(酪農経営)をめざしたい,と話す三美恵さんは,今,輝いています。