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〔共済連便り〕

3年目の診療検診車

NOSAI家畜臨床研修所
大 竹   修

 高泌乳時代に突入した日本の酪農は,その一方で泌乳量と給与飼料のアンバランスに起因する生産病の発生と死廃事故を増加させています。岡山県においては,関節炎(肢蹄疾患)を筆頭に,乳房炎,産後起立不能症(乳熱およびダウナー症候群),第四胃変位,脱臼および骨折,あるいは肝炎などが死廃事故のトップクラスにランクされ続けています。
 このような多発疾病を低減させるために,獣医師による懸命の診療と,生産性や収益性の向上を目的とした損防事業や検診指導事業が並行して実施されていますが,一朝一夕に事故が低減するまでには至っておりません。
 そんな中で,NOSAIでは診療検診車を導入し,乳牛群の健康診断や疾病予防,あるいは飼養管理の指導を開始し,既に2年が経過しました。これまでは北部地域の酪農家を主として選定し,同一乳牛群を2カ月間隔で3〜5回検診指導する方法をとってきましたが,今年度は検診対象を県下全域に広げています。それではどのような項目を実施し,どのようにアピールできたかということの概略を紹介しましょう。

●ボディコンディションスコア表の作成
 泌乳ステージ別BCSの推移表に1頭ずつのBCSを印します。それらを◯妊娠,□種付けしたか鑑定できるまで経過していない,△空胎,などに色分けして記入することにより牛群全体のバランスを診断し,標準帯から著しく逸脱した過肥や削痩,あるいは空胎などの原因をさぐり,改善指導してきました。また回を重ねるごとに個体の経日的推移もわかる便利なもので,この表は酪農家にすこぶる好評です。

●血液検査
 各泌乳ステージから数頭ずつ,最高20頭までを採血し,5〜9頭目検査しますが,一見健康と思われているものでも,乾乳期や産褥期に集中して異常値がみられがちで,肝機能障害や低血糖(ケトーシス),あるいは貧血などがみられる場合が多く,その場で主治医による治療を実施しながら飼養管理や給与飼料内容を検討してきました。

 上記の検査や指導を約3時間かけて現場で行ってきましたが,その他に特殊検査機器(超音波,X線,心電心音計,眼底カメラ)で精密検査をする時もあります。その結果,多くの酪農家が肢蹄異常,乾乳期の過肥,産後の病気,それらに端を発した受胎延牛などで悩んでいることがわかりました。そのような事故や障害を改善するために,主治医による積極的な治療と検診指導をマッチさせ,酪農家の心の中に潜むマンネリとあきらめの精神を打破し,前進意欲と実行力を植えつけることが検診の究極の目的であると思い,これからも診療検診車を走らせます。