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〔広 場〕

「平成8年度全国酪農基礎調査の結果まとまる」

岡山県酪農農業協同組合連合会

《はじめに》
 平成7年4月1日より乳製品の関税化が実施されて以降,現在まで約2年が経過した事になる。2000年までの期間は比較的高い関税が維持されるため,急激な変化は起こることは考えにくいが,今後10年間というスパンで捉えた場合,関税率の引き下げのみならず,糞尿処理問題,労働荷重問題,離農の進行とも相まって,我が国酪農を取り巻く市場環境変化が激しさを増すことは想像に難くない。
 全国酪農基礎調査は,酪農家を対象にした悉皆調査から,酪農生産動向の総合的・体系的な把握を行ったものである。そのなかから基本的な項目について絞り込み,その現状と動向について調査結果を報告する。
 調査対象酪農家数39,954件のうち34,924件の回収で93.2%という高い回収率となっている。

1.酪農継続状況
 全体の93.5%は平成7年度から継続して酪農を営んでいる。経営を中心としたのは6.2%で北海道の5.1%に対し,四国(9.0%)東北(8.2%)中国(7.6%)の3地区は経営を中止する農家がやや多い傾向にある。

2.経営主の年齢
 経営主の年齢は40代(30.7%)と50代(22.3%)で全体の53.0%を占めており,この両年代が酪農経営の中心となっている,これらに次ぐのは60代(16.6%)で全体の平均年齢は50.4歳となっている。北海道は30代(19.1%),40代(33.3%)と比較的若い経営者が多く平均年齢は46.3歳である。都府県を地域別にみると平均年齢で最も若いのは沖縄で46.3歳,これに次ぐのは九州(49.6歳)東北(50.6歳)北陸(50.5歳),逆に平均年齢が最も高いのは近畿(55.2歳)であった。

3.経産牛の飼養頭数
 経産牛の飼養頭数は全体で107万3千頭である。飼養頭数をランク分けすると『10〜19頭』(18.8%)『20〜29頭』(18.9%)『30〜39頭』(17.7%)の規模が比較的多く,一戸当たりの平均飼養頭数は30.7頭となっている。北海道は『50〜74頭』(29.4%)の規模が最も多く,これに『40〜49頭』(22.8%)『30〜39頭』(18.7%)が続いている。平均飼養頭数は46.0頭で都府県の平均飼養頭数25.3頭の1.5倍に上っている。都府県を地域別にみると一戸当たり平均飼養頭数の多いのは東海(40.0頭)沖縄(39.3頭)でその他の地域は19〜28頭程度になっている。

4.後継者の有無
 16歳以上の子供がいる酪農家は全体で58.6%であり,そのうち後継者が『決まっている』という酪農家は31.5%である。これに対し,『未定』という酪農家は38.8%,『後継者はいない』という酪農家は28.2%となっている。北海道では16歳以上の子供がいる酪農家(48.5%)のうち43.0%が後継者が『決まっている』と回答している。都府県を地域別に見ると東北と九州の両地域では後継者が『決まっている』割合は4割を示しているが北陸・中国・四国の3地域は2割にとどまっている。

5.
経産牛の畜舎形態は『繋ぎ飼い』が87.0%を占め『フリーストール』は4.1%となっている。北海道ではフリーストールが7.8%とやや多く都府県に比べれば2.8倍となっている。都府県で多いのは沖縄で10.5%を占める。

6.糞尿処理の実態
 現在糞尿を『経営内で全量処理』している酪農家は61.7%である。これに対し,『経営内では処理できず外部に供給』(23.5%)あるいは『経営内で処理できずに困っている』(6.4%)は合わせて29.9%となっている。北海道は『経営内で全量処理』の割合が高く,81.1%にのぼっているが,都府県では54.8%と少なくなっている。地域別にみると東北・関東・四国・九州において『経営内で全量処理』の割合が6割前後(56.0%・60.4%・57.2%・59.2%)にのぼるが,北陸・東海・近畿・沖縄の同割合は3〜4割(35.4%・28.5%・43.7%・35.9%)と低い。

7.ヘルパー組合加入の有無
 ヘルパー組合に『加入している』酪農家は50.0%で『組合はあるが非加入』の酪農家(33.7%)の1.5倍となっている。また,『ヘルパー組合がない』という割合も8.8%ある。北海道は『加入している』割合が高く66.6%にのぼっている。これに比べ都府県は44.1%にとどまっている。加入率の低い地域は東海・四国・九州(30.7%・32.9%・22.9%)である。