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〔輝くひと紹介〕

「畜産から地球規模の課題,環境問題に取り組む若き研究者」

岡山県総合畜産センター 企画情報科

 地球環境,自然環境に対する関心は,ますます高まって,今年は産業廃棄物についてマスコミで取り上げられることが多いように感じられます。我々畜産に携わる者にとって「産業廃棄物」というと,すぐ家畜のふん尿が連想されてきます。このため,畜産センターに対する試験研究への要望課題で,「畜産経営に伴う環境保全」に関するものが際だって多くなってきました。
 このようなみなさんのニーズに対応するため,畜産センターの環境衛生科は,夜遅くまで目に見えない微生物や悪臭を相手にがんばっています。スタッフは科長以下3名の少数です。今回紹介する「田原鈴子」をはじめ畜産センターを代表する精鋭で,全国の畜産試験場のなかでも屈指の陣容と思います。
 田原さんは,平成6年3月大阪府立大学卒業後,岡山県に採用され総合畜産センターに配属されました。前述のとおり,周囲の研究者に恵まれたこともあり,平成6年,平成7年度の岡山県畜産関係業績発表に畜産センターの代表として研究成果を発表しています。特に,2年目の平成7年度の発表では,岡山県の代表として中国地区日本産業動物獣医学会に選抜されました。
 全国的に家庭ゴミの処理が問題となりはじめた,平成6年からは知事の要請で「家畜ふん尿を活用した生ゴミ処理技術の開発」に関する研究の中心的役割を果たしてきました。この研究は,畜産センターの研究を畜産分野だけでなく,県内に広く生かすものとして注目に値する研究となっています。現在も,県内企業の生ゴミ処理機(コンポスト)開発グループに環境衛生科がオブザーバー参加するなど具体的な取り組みを支援しています。
 田原さんは大阪府の出身で,今は畜産センターの女子寮を住居としています。平成6年当時彼女のイメージは,天真爛漫で,いつも笑っていて,酒もなかなかのものと噂では聞いていました。しかし,昨年,今年と女性職員の新規採用で,同じ大阪府立大学の後輩も含め3人が採用になり,女性の先輩になったためか(?)今回取材した自己申告では,「酒量については,ビールが少々」となっていました。
 本年度初め,試験資材を運搬しているとき,転んで大ケガをしてしまいました。救急車がけたたましいサイレンで畜産センターの坂を上がってきます。職員も次々集まってきたとき,非常に申し訳なさそうに見えた彼女の顔が印象的でした。
 事務所で「臭い臭い」と言われながら,白衣姿で廊下を歩く彼女に,今後とも畜産センターの「輝くひと」として,県内の畜産農家の期待に応えて欲しいと願っています。