ホーム岡山畜産便り > 岡山畜産便り1997年9月号 > 海外研修生紹介

〔畜産センター便り〕

海外研修生紹介

岡山県総合畜産センター 企画情報科 谷 田 重 遠

イ・プトゥ・スカダナ氏

 昨年度の海外研修は,インドネシア,パナマそして中国と3ヶ国から受け入れましたが,今年はインドネシアのバリから今回紹介するイ・プトゥ・スカダナさん一人が来ています。岡山県総合畜産センターでは,インドネシアのバリ島からここ数年間継続的に研修生を受け入れています。現地で農業改良普及員として直接農家の技術指導を担当している職員が研修の主な対象となっています。正直なところ,10ヶ月間の研修でどこまで技術修得につながるのかといった疑問はありますが,総合畜産センターでは国際交流と親善を第一として海外研修員の受け入れを行っています。
 今年の研修生,スカダナは41歳で母国には,奥さんと4人の子供さんがいるそうです。うえの二人が男の子で3人目は,女の子と奥さんも期待していたそうですが,結果は双子の男の子で,12歳,10歳そして二人の7歳の息子さんと奥さんが一緒に生活して,両親とは別々に住んでいるとのことです。昨年のスアスタさんと同じように奥さんは,学校の先生をされていて,小学校で宗教(ヒンズー教)を担当されているそうですが,非常に愛妻家で来日して以来,何度も国際電話しているようです。残念なことに岡山県総合畜産センターの公衆電話では,直接インドネシアに電話できないので,津山にショッピングに出掛けたときとか,岡山に帰ったときは必ず電話するそうで,月曜日には週末奥さんと電話したことを楽しそうにしゃべってくれます。
 彼は,60人いる事務所のナンバー2で,役職からか(?)大変な社交家のようです。7月に初めて畜産センターに来たとき,所長に向かって「神原さん,とてもハンサムです。」と,所長や我々がびっくりしたほどでした。本人は,「部下の職員はたくさんでも,サラリーは少ない」と笑いながら言っています。
 畜産センターに来てから約1ヶ月が経過し,生活に慣れる反面では想像していたこととの違いが出てきているようにも感じられます。当初の予定では,食事は我々と同様のものを食堂で食べることとしていたのですが,岡山で外食したとき日本食が合わなくて激しい腹痛になって以来自炊しています。これまでの研修生は,20代の青年が中心だったのですが,彼はいわゆる中年ですから,センター内の日常の行動にもそれなりに気を使っていることが伺えます。
 バリ島には50万頭程度のバリ牛がいて,それぞれの地区に人工授精の技術者がいて,ストローを使った人工授精がされているそうです。彼が,海外研修員として畜産センターにやってきたのは,肉用牛の改良と繁殖そして飼養管理を学ぶためだと言っています。60人近い部下がいて,日本語の会話も昨年の研修生に比べれば,数段劣るにもかかわらず,積極的に海外研修生として日本にやって来ている勇気と畜産に取り組む姿勢を我々も大いに見習わなくてはいけないと感ずるところです。
 来年の3月には,彼の努力に報いた実りある研修になるよう総合畜産センター全職員で対応してゆきたいと思っています。