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〔家保便り〕

備中町に種豚供給基地誕生
“忙しくなる養豚担当者”

高梁家畜保健衛生所

 外国からの攻勢に押され続けてきた日本の養豚は,日本への豚肉の大口供給国である台湾で口蹄疫が発生し,輸入が禁止されたことから国産豚肉価格は高騰し,養豚農家は一息ついた状況にある。政府は7月から緊急輸入制限措置を解除したが高騰は続いたままで,8月1ヶ月間は輸入豚肉の関税免税措置を21年ぶりに発動した。これは国産品の根強い需要から絶対量が不足していると考えられ,国産品の増産が急務となっている。
 こうした中,備中町湯野地区で肉豚生産をしていた有限会社ユノポークは平成9年6月に農事組合法人岡山農場として新たに発足し,今後は周囲に豚がいないという立地条件を生かし種豚の生産をしていくこととなった。
 英国のコツワルド・ピッグ・デベロップメント社より原種豚を輸入し,雌系にコツワルドライン12(コツワルドランドレース),雄系にコツワルドライン16(コツワルド大ヨークシャー)を用いたハイブリッドコツワルドプラチナの生産を目指している。
 今年11月から来年3月にかけ英国より原種豚400頭を輸入し生産をスタートするが,種豚供給開始は平成10年12月の予定である。

   (農)岡山農場の概要
 原種豚:400頭
 種豚生産:2,600頭/年間
 供給範囲:中部地方以西
 供給開始:平成10年12月予定
 その他:肥育豚6,000頭/年間

   雌系原種豚     雄系原種豚
 コツワルドライン12× コツワルドライン16
(コツワルドランドレース)(コツワルド大ヨークシャー)
           ↓
    種豚             
    ハイブリッドコツワルドプラチナ
   
忙しくなる養豚担当者
 この農場の原種豚は英国から輸入される。検疫を終えた豚は隔離豚舎で3ヶ月間の着地検査を実施し,外国からの疾病侵入防止に努めることとなる。ちなみに,平成7年には日本に708頭の豚(アメリカ:336頭,イギリス:290頭,他)が輸入されており,検疫ではエペリスロゾーン病が摘発され当該豚1頭は返送されている。
 先日は,英国からバイヤーやテクニカルマネージャーが来所し,英会話修得の必要性を痛感したが,海外悪性伝染病侵入防止のためには,外国の豚疾病の発生状況を把握し,的確な着地検査を実施する国際感覚も必要となってきた。さらに,種豚の県外出荷に必要なオーエスキー病の抗体検査は,ほぼ毎週検査を実施することとなり忙しくなりそうだ。
 余談となるが,岡山県総合畜産センターでは英国から黒豚を導入して「おかやま黒豚産地づくり推進事業」に取り組んでいる話をすると,英国の黒豚へ着目した目の付け所の良さと英国産黒豚の肉質の良さを盛んにPRしていった。