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〔家保便り〕

新庄村発−地域畜産の新しい芽

岡山県真庭家畜保健衛生所

 畜産物の輸入拡大,乳価の低迷など畜産経営を取り巻く環境が年々厳しくなっている昨今ですが,真庭郡新庄村に積極的に受精卵移植を活用し畜産農家間の連携を図ることで,地域畜産農家共存の道を切り拓こうと意気揚がるグループがあります。その中心人物の福井幸平さんを訪ねました。
 同村では,酪農家と和牛農家が連携して受精卵移植(ET)を活用した和牛生産を推進し,地域畜産の活性化を目指そうという試みが始まっています。村内の酪農家で計画的に和牛のET子牛を生産し,子牛のほ育・育成は育成技術の優れた特定の和牛農家で集中的に行うことで,酪農経営の改善と優秀な和牛の安定生産という一石二鳥をねらった全国的にも大変珍しい取り組みです。
 このグループの中で,ET子牛のほ育・育成を担当している和牛農家が福井幸平さんです。福井さんは,和牛繁殖経営農家として和牛子牛の育成経験が長く,また,以前から村内の酪農家で生産された和牛ET子牛のほ育・育成の経験もあることから,村内でそんな気運が盛り上がってきた時,グループのほ育・育成担当を積極的に買って出て,専用の施設を作り,この春から本格的に取り組んでいます。
 このような取り組みを始めた動機を福井さんは,『個人経営の改善も大切だが,農家同士の連携を強め,注目を集める地域づくりを行うことこそ,これからの畜産の生き残り・活性化にとって最も重要なこと』と,力を込めて語ってくれました。
 このグループの活動がスタートした直後から関係機関も,経営担当・普及センター,衛生担当・家畜保健衛生所,予防治療担当・共済連,育成担当・経済連というあうんの連携プレーで,月1回の巡回指導などで,このユニークな取り組みの成功に向けて,バックアップを続けています。
 現在,21頭のET子牛は和牛の発育標準以上に順調に成長しており,まもなく市場出荷も始まります。
 『畜産経営を取り巻く環境変化の中で,消費者ニーズに対応した経営はもちろん,逆に消費者ニーズをコントロールするほどの情報発信地域となることを目指して頑張っていきたい』とは,同グループ酪農家の一人渡辺さんの言。
 楽しみの多い地域の新しい芽が,大きく育つよう期待して見守っていきたいと改めて強く感じたインタビューでした。