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〔共済連便り〕

岡山西部家畜診療所紹介

岡山西部家畜診療所 所長 林 克 彦

概  要
 岡山西部家畜診療所は,本所が高梁市落合町近似に,同阿新支所が新見市西方緑町に所在します。診療所の事業区域は,総社市の一部と,高梁地方と阿新地方の全域で3市10町を管轄しています。職員数は本所が獣医師7名と事務の1名,支所が獣医師3名で診療損害防止,防疫等を行っています。
 なお,阿新支所については,独自に紹介させて頂く予定ですので,本稿では本所の分に限らせていただきたいと思います。

沿  革
 昭和38年に高梁家畜診療所が開所,以後高梁管内にも各地に開所されましたが,暫時統廃合し,昭和63年に賀陽,北房,川上の3駐在体制となりました。そして平成8年4月阿新家畜診療所と合併,同時に駐在を廃止し,現在に至っています。

診療体制
 平日の診療は地区担当制で行っていますが外科手術等は,極力2人で行うようにしています。土曜日,日曜日,祝祭日は2人の日直制を,夜間診療は1人の宿直制を取っています。管内においては,これ以上の規模拡大を望めない農家が殆どですので,業務の中心は伝統的な個体診療です。

管内の引受と事故の状況
 引受状況は,乳牛が125戸,3,020頭,肥育牛が50戸,3,134頭,特定肉用牛が219戸,892頭,種豚が6戸,535頭,肉豚が1戸,8,615頭,以上が管内の平成8年度の実績でした。豚以外は,戸数,頭数ともに激減しています。原因は,全国的に同じである様に,畜主の高齢化による廃業,価格低迷による経営の悪化からの転業です。
 死廃事故の状況は,平成8年度で,乳牛で202頭,頭数被害率で6.7%,肥育牛で68頭(2.2%),特定肉用牛で15頭(1.7%),胎児または出生子牛で30頭(4.1%),種豚で35頭(6.5%),肉豚で279頭(3.2%)でした。事故の内容ですが,乳牛では関節炎,乳房炎症,ダウナー症候群(産前・産後起立不能症),脱臼・骨折,肝炎がワースト5で事故頭数202のうち104頭(51.4%)を占めています。肥育牛では消化器病,呼吸器病によるものが大半ですが,藁不足による第四胃変位が最近増えています。特定肉用牛では胎児死,新生児死が依然として多発しています。肉豚では殆どが肺炎による死亡ですが,県下では,事故率が低い方ではあります。
 病傷事故の同じく8年度の状況は,乳牛で3,444件,頭数被害率で114.0%,肥育牛で1,107件(35.3%),特定肉用牛で485件(54.4%),出生子牛で244件(33.6%),種豚で93件(17.4%)でした。

損害防止活動
 管内の全組合等は,特定損害防止事業の指定を受けているため,この事業を中心としてあたっています。
 また診療所職員が中心となり,組合等,開業獣医師等の協力を得て,一般損害防止事業として,飼養管理全般の指導を行っています。

さいごに
 畜産業界が正念場を迎えた今,当家畜診療所の職員は,それぞれの立場で畜産経営安定のため,日夜頑張っています。関係各位皆様には,今後とも一層の御協力と御指導,御鞭撻の程よろしくお願いします。