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〔トピックス〕

病原性大腸菌O−157に関する情報について

岡山県家畜畜産物衛生指導協会

 昨年から今年にかけて比較的身近なところで病原性大腸菌O−157が発生して種々物議をかもしていますが,食品に対する正しい知識を身につけていれば何等問題はないと思われます。
 厚生省の資料によりますと,大腸菌は腸内細菌科に属する大きさ1〜2ミクロンほどの細菌で,家畜や健康な人間の腸内に存在していて「O抗原」と呼ばれ,菌の成分により更に細かく分類されておりまして「O−157」とはO抗原の157番目という意味ですが,現在約173に分類されています。
 殆どのものが無害ですが,このうち幾つかのものは人に下痢を起こすことがあり病原性大腸菌と呼ばれており「病原性大腸菌O−157」はこの病原性大腸菌の一種なのです。
 病原性大腸菌O−157の症状は赤痢菌の症状とよく似ており,大腸菌と赤痢菌が合併した様な菌で1982年米穀でのハンバーガーを原因とする集団下痢症で初めて見つかったとされている非常に新しい細菌です。
 この菌は家畜等の糞便中に時々見られる菌で,本菌に汚染された食品等を通じて人に感染することがあっても健康な成人では自然治癒しますが幼児等では重篤な合併症を起こすとされています。予防対策としては食品の十分な加熱等が効果的で万一感染,発症した場合には患者の糞便の衛生的な処理等二次感染防止対策の徹底が大切と言われております。
 農林水産省では,最近色々言われている食肉については本菌は熱に弱く75℃1分以上の加熱で死滅すると言われており,要するに中心まで熱がとおる工夫があれば容易に感染を防ぐことが可能なのです。
 野菜,果実,水産物,牛乳,乳製品等々いずれも新鮮なうちに食べる,低温保存する,廃棄物の衛生的処理を行うことが出来れば問題はないと思われますが調理する前に手指をきれいに洗うとともに包丁や,まな板は調理の都度きれいに洗ったうえで十分に乾かして下さいとの指導がありますが,食器や調理器具なども清潔に保つことが大切であることは言うまでもありません。

●病原性大腸菌O−157対策事業
 病原性大腸菌O−157による食中毒については,感染経路が複雑で,特定が困難なことは広く知られておりますが,安全な食肉を国民に供給するとの大前提から農林水産省では牛等の衛生的な飼養管理,出荷時の衛生管理等々の徹底について畜産関係者,飼養農家に再三注意するよう指導がありましたが,病原性大腸菌O−157発生の対策としては衛生管理を徹底することは勿論のことですが,種々論議されている畜産関係では根本的な解決策としてはO−157菌を保有しない牛を出荷することが緊急の課題と思われます。
 そこで,農林水産省では畜産農場等におけるO−157菌の保有状況の調査,生菌製剤等の投与によるO−157菌の除菌効果の調査と併せ,畜舎消毒等の処置により農場を清浄化する手法を確立するための事業を本年度から実施することになりました。
 本事業は当協会が事業主体となって実施しますので,関係機関,ならびに関係者の皆さんには大所高所から事業の推進に格別の御協力をお願いする次第であります。