岡山畜産便り97年11・12月号 (声)「和牛の里・JA阿新の畜産」

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(声)

「和牛の里・JA阿新の畜産」

阿新地方振興局農林事業部

(和牛の里:歴史と実績)

 阿新地域は,古くから「千屋牛」の産地として発展し,和牛の里として広く全国に知られている。
 天保5年,「太田辰五郎」が私費を投じて千屋に牛市場を開設したことに始まり、その後,改良増殖が進められ,名牛「第13花山号」が作出される等古い歴史がある。
 「太田辰五郎」の碑は千屋の牛市場跡に,「第13花山号」の碑はJA阿新の敷地内に建立されており,その改良の精神は現在まで引き継がれている。
 本年度の,第7回全国和牛能力共進会において,県出品牛23頭の内,当農協管内から13頭が出品され10頭が優等入賞を果す等伝統産地の底力を見せました。

(県下最大の広域農協と畜産)

 当農協は,昭和47年10月に阿新地域,1市4町の5農協が広域合併し,県下最大の農協となった。
 現在,組合員は約7,000名で,畜産課職員は本所に5名,千屋,花見,田淵の肥育センターに7名,ミートセンターに2名の計14名の体制であり,20支所にも畜産担当がそれぞれ配置されている。
 総販売額は32億円であり,畜産の販売額は11億円で総販売額の1/3を占め,その内80%が肉用子牛と肉牛の販売によるものである。

(地域内一貫生産への取組:直営肥育センターとその規模拡大)

 昭和50年農協直営による「千屋肥育センター」を創設し,以来,地域内繁殖肥育一貫経営に取り組み,平成5年度に低コスト肉用牛生産特別事業により300頭規模に,平成7年度からは花見牧場を加え400頭規模に,平成8年度にはさらに田淵牧場を加え600頭規模に拡大し,高育種価種雄牛の交配指導により,繁殖農家で生産された子牛を買い支え,農家の経営安定に貢献するともに,肥育技術の実証展示施設としての役割を果たしている。

(直販体制の整備:「千屋牛肉」,「ミートセンターJA阿新」,「あしん広場」,「JAあしん館」)

 平成7年度には地域内繁殖肥育一貫経営の拡大にあわせ,独自ブランドの上物和牛肉「千屋牛肉」の宣伝と販路拡大を図ることを目的に,牛肉加工施設「ミートセンターJA阿新」を設置し,中間マージンを廃して食肉を有利に販売している。
 ここでは,肉質が早期に判定できるため,千屋肥育センターの肥育牛の能力,さかのぼってその母牛等の追跡調査ができ,現場での産肉能力の検定機能をそなえ,そのデータは繁殖牛群の改良にも役立っている。
 平成8年度には,子牛生産,肥育とその後の肉の加工,販売,消費に至るまでの総合的な流通体制の整備の一環として,新見市正田地区に,農協の直販施設「あしん広場」を設置しその一角に「ミートセンターJA阿新」で加工された精肉の直販店及び焼き肉レストラン「焼肉千屋牛」を開設している。
 更に,来年4月には,地域農畜産物の阪神地域への進出拠点として,宝塚市にアンテナショップ「JA・あしん館」を建設し,「千屋牛肉」等の特産物直販店とこれをメインにしたレストランにより「千屋牛肉」の販路拡大を図りブランド確立を目指すこととして事業を展開している。
 以上のような積極的な取り組みにより平成9年度(第37回)岡山県農林漁業近代化表彰(畜産部門)が平成9年11月8日に授与されました。