ホーム岡山畜産便り > 岡山畜産便り1998年2月号 > 「蒜山地区の酪農の現況と今後の方向」

〔声〕

「蒜山地区の酪農の現況と今後の方向」

真庭地方振興局農林事業部畜産係

1.はじめに

 蒜山高原は,大山隠岐国立公園の一角に位置し,豊かな自然に恵まれ,四季それぞれの景色と牧草地に放牧されているかわいいジャージー牛を求めて訪れる観光客が多い。
 平成8年の観光客数は202万人ですが,平成9年3月の岡山自動車道の開通,平成9年12月にオープンした「ベアーバレースキー場」,今後オープン予定のハーブランド「ハービル」などにより,今後ますます増加する見通しです。
 このような蒜山地区にあって,地域特産物として,ジャージー牛乳及び乳製品は毎年順調な伸びを示していますが,その現況と今後の方向について紹介します。

2.酪農の現況

 蒜山地区の農業は,自然環境を活かした酪農,米,大根などが盛んで,それぞれの生産物の色から三白農業と呼ばれています。
 酪農は図1のとおり,地区のホルスタイン種の飼育頭数が減少する中で,ジャージー牛の頭数は増加を続けていて,ジャージー酪農団地としては,全国一となっています。この理由として,地元の,蒜山酪農農業協同組合が独自に製造販売しているジャージー牛乳及びヨーグルトをはじめとする乳製品が増加していて(表1),この収益を再生産奨励金として出荷農家へ還元しているためです。その他,増頭に対しての奨励金助成や海外導入牛への助成等を行っています。
 また,酪農関連農業としてジャージーランドに隣接してビジターセンターがあり,レストランではジャージーの牛乳料理(チーズホンジュ)やジャージー牛肉(ステーキ)などが観光客から好評を得ています。

(毎年8月1日真庭家畜保健衛生所調べ)

3.今後の方向

 乳価の低迷が続く中では,産乳性の高い乳牛の導入及び受精卵移植を推進することにより優良牛群を確保し,牛群検定による飼育管理の適正化により,生産性の向上に努めます。
 一方,多頭飼育が可能なフリーストール牛舎を整備し,省力管理を推進します。
 しかし,多頭化によりふん尿処理が困難となるので,共同で利用できる堆肥センターを整備し,良質な堆肥づくりに努め,大根などへの利用を促進します。
 また,処理量の拡大が予測されている牛乳処理工場の効率化を図り,商品のグレードアップを推進します。
 蒜山地区の酪農は,観光と共生して発展して行く必要があり,環境に配慮しながら特産品づくりを推進します。

表1 牛乳及び乳製品の販売推移
区    分
平成4年度
平成7年度
平成8年度
生乳処理量
(トン)

4,453

4,993

5,484

ヨーグルト販売数量
(千個)

5,422

11,526

12,919

販売高
(千円)
牛 乳

906,247

940,463

1,065,629

乳製品

399,814

824,674

933,981

                 (蒜山酪農農業協同組合調べ)