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〔広場〕

太伯酪農振興会が「ゆたかな畜産の里づくり」において農林水産省畜産局長賞を受賞

岡山地方振興局農林事業部畜産係

 岡山市内にある酪農団体,太伯酪農振興会が平成9年度「ゆたかな畜産の里推進事業」の優良事例として,農林水産省畜産局長賞を受賞しました。この事業は,6中央畜産会が農林水産省及び農畜産業振興事業団の助成を受け,平成6年度より実施しているもので,環境と調和した畜産を推進している地域の優良事例の中から特に優秀なものを表彰し,広くPRするものです。
 「太伯酪農振興会」は,昭和37年4月,酪農の振興を図るために設立され,現在,会員数19戸で約700頭を飼育し,3,763トンの生乳を生産しています。
 評価された点としては,まず第一に「環境美化運動」です。畜産農家と一般住宅との混住化が進む中で,環境問題に対応するため,牛舎周辺の花一杯運動や牛舎内外の清掃等に努め,美しい牛舎環境を創出しています。
 第二に,「糞尿の高品質堆肥化」です。これまで糞尿は,乾燥したり一部未処理のまま土地へ還元していましたが,完熟していないため,耕種農家の利用が減少してきました。このため平成8年度に乾燥ハウス4棟,発酵施設2棟を新設し,高品質の堆肥を生産する体制を整えました。この堆肥の特徴は,副資材として粉砕モミガラを利用していることで,水分吸収率が高く,堆肥化期間も短いため,品質が良いことです。約1,470トンが,農協を通じ「モーちゃん堆肥」として販売,供給されています。
第三に,「作業の共同受託による,農地の有効利用」です。平成元年度より,この地域では,1区画1.2ゥの大規模圃場が80ゥ実施されました。そこで,この内40ゥの作業を,本振興会の会員が中心となって受託することにより,水田裏作を利用した25ゥの飼料作物の作付けや40ゥの稲の不耕起乾田直播種栽培による低コスト生産を可能にしました。又,堆肥の交換等を通じて水田80ゥの稲わらも粗飼料として利用しています。
 このように,環境美化,糞尿処理,さらには耕種農家との連携による水田有効利用など,環境と調和した農村の活性化が図られている点が,晩秋に刈り取られた稲わらの三角帽子がどこまでも続く独特の美しい風景とともに高く評価されたものです。