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〔声〕

「地域内繁殖肥育一貫体制への

取り組みについて」

勝英地方振興局農林水産事業部 畜産係

 今回ご紹介する奈義町は,中国山地の山並みを背にして,その緩やかな山脚が南に向かって展開し,標高200〜300mの扇状地や丘陵地等の平地が多い町です。しかし,この地域には毎年のように局地的な暴風「広戸風」が発生し,建物や農作物に多大の被害を与えることがあります。
しかし,この町では広戸風の風土的マイナス条件を克服しながら,区画整備された圃場を基盤に水稲・畜産・野菜を主体に農業振興が図られています。
また,畜産経営による環境汚染防止を図るとともにより安定的な畜産経営を展開するために,死亡獣畜を衛生的効率的に処理する家畜衛生センター並びに家畜ふん尿の有効利用による「土づくり」を目的とした有機センターなどの基幹施設をいち早く整備しています。  
家畜の飼養状況は表1のとおり各家畜が飼養されており,平成8年において畜産部門が農業粗生産額(38億円)の約7割を占めています。

表1.奈義町における家畜の飼養状況  

区分
酪農
肉用牛
養豚
採卵鶏
ブロイラー
戸数

40

28

頭羽数

1,300

2,300

6,300

208千羽

102千羽

(平成9年8月1日家保調べ)

次に地域肉用牛の生産概要ですが,繁殖部門は21戸で80頭を飼養しており,1〜10頭の経営が主体で,今後も農家段階での大規模経営は望めないため,10頭規模の複合経営体の育成を推進しています。一方,肥育部門は,7戸で2,200頭を飼養しており,150〜750頭規模の法人及び個人による専業経営が展開されています。肥育素牛は,地域内のほか,北海道桜野牧場及び県経済連久世総合家畜市場から導入しています。 従来この地域では乳用種主体の肥育経営でしたが,品質面で優位性のある和牛は将来にわたって安定的な需要が期待できることから,和牛及びF1の飼養比率を高めていく経営への転換を計画しています。しかし,県下共通の課題であるとおり繁殖経営を取り巻く状況は厳しく,高齢化・後継者不足から肥育素牛の安定的な供給が危惧されます。 そこで,地域ひいては県下全体の肉用牛生産の維持・拡大を図るためには繁殖部門を担う組織が必要となることから,平成10年度奈義町農協が事業主体となって大規模繁殖経営のための施設整備を行い,高品質な素牛を安定的に供給することを計画しました。 家畜飼養の技術指標は表2に示すとおりですが,この経営により 1)肥育農家と連携した効率的地域内一貫生産体制の推進 2)繁殖管理・飼養管理における牛群管理体制の推進 3)超早期離乳(生後15日齢)の推進等が実証され,他地域への普及が期待されます。

表2.家畜飼養の技術指標

項目
技術指標
成雌牛飼養頭数

500頭

分娩間隔

12.5ヵ月以内

子牛出産・育成率

92%

繁殖供用開始体高

117cm

初産月齢

24ヵ月齢以内

離乳日齢

15日齢

出荷子牛の月齢と体重
去勢牛

7カ月齢・260kg

雌牛

7カ月齢・250kg