ホーム>岡山畜産便り > 岡山畜産便り1998年11・12月号 > 「吉備高原地域での畜産振興への取り組み」 |
1.はじめに
岡山県西部,吉備高原の中央に位置する賀陽町は,近年,吉備高原都市の建設で急速に都市化しているが,古くから酪農・肉用牛の栄えた地域の1つであります。しかし,最近では,畜産従事者の高齢化,担い手の不足等で,戸数,頭数ともに減少の途を辿っている現状であります。
表1 畜産農家戸数・頭数の推移(賀陽町)
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63 |
56 |
47 |
46 |
42 |
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1,502 |
1,578 |
1,414 |
1,311 |
1,305 |
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肉用牛 |
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73 |
72 |
53 |
46 |
41 |
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2,132 |
2,797 |
2,538 |
1,845 |
1,984 |
表2 賀陽町主要農産物の粗生産額 単位:百万円
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1,710 |
690 |
660 |
330 |
270 |
4,370 |
こうした中,地域農業の基幹作目としての畜産の見直しと振興を図るため,平成8年度から,「畜産基盤再編総合整備事業(完了:平成12年度)」へ着手していますので,その概要を紹介したいと思います。
2.事業の概要
この事業を大きく分けると,自給飼料基盤の整備,農業用施設の整備,農機具の導入の3種類に分けられ,賀陽町で実施しているものは,次のとおりです。
@畜産農家の生産条件の充実・強化
自給飼料基盤の整備:7.5ha(平成9年度まで3.0ha)
畜舎等の整備:4棟(平成9年まで2棟)
草地管理機械の導入:町内2飼料生産組合
A活性化施設の設置
賀陽町全域を対象とした堆肥センターを建設し,良質堆肥の生産を行うことで,耕種農家と連携した地域農業の活性化を図る。(平成11年度)
3.事業推進上の問題点
@受益者負担金の確保
乳価の減少,購入飼料価格の高値推移が続く中,農家収入は必然的に低下しており,受益者負担金の捻出が困難となっている。
A混在化による周辺環境の悪化
畜産農家の減少に伴い,理解度も低下し苦情が増加している。
4.今後の事業推進
以上の問題点から,次の2点を考慮に入れて今後の事業を推進することにしている。
@受益者の経営内容の把握と投資可能額の再検討を行い,無理な投資を避けるとともに,自給飼料の生産による低コスト生産を推進する。
A平成11年度に建設する堆肥センター(活性化施設)を有効に活用し,有機肥料を通じて,畜産農家と耕種農家の連携の強化を図るとともに,非農家のガーデニングをも視野に入れた流通体系を構築し,消費者の畜産への理解を深める。