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〔広場〕

「牛群検定情報を活かして酪農を10倍楽しもう A」
“牛群検定情報には宝が一杯”

(社)家畜改良事業団家畜改良アドバイザー 永井  仁

 毎月一回の検定で表1「家畜改良事業団が提供している牛群検定情報」としてこれだけ多くの情報が返ってくる。
 配付先で「検定農家」欄の黒丸が検定農家に送られる情報で合計6種類,さらに種雄牛の情報,いわゆる「赤本」を加えると7種類の情報が送られてくる。
 その上各県には「分析センター」が設置されており,これ以外にそれぞれの県の農家に必要と思われる情報を噛み砕いて配布されている所もある。
 このように情報の量は膨大で,その上この情報は検定農家だけの宝の山。
 ただ余りにも量が多く,その上,コンピュータの数字がビッシリ詰まっているので,忙しい検定農家ではなかなか見て貰えないばかりでなく,中には封筒に入ったままというのもあるのは残念なこと。
‘検定成績表の見方と活かし方’
 この様に情報の量は多いが,全ての情報の基礎は,毎月1回の検定で作られる「検定成績表」。
 先ずこの「検定成績表」の見方を,表2の見本で一緒に検討して見ることにしよう。

−正確な情報は,正しい報告から−
 検定は月に一回,従って決められた項目を正確に報告することが大事。
 その手始めは見本@の個体の成績の,牛コードと,分娩または乾乳の項目。

◎牛コードの数が多くなり過ぎていないか?
 検定牛をマスター登録すると,その牛の牛コードが作られる。
 その牛を別の人に譲った際は,移籍先で報告するとその成績は移籍先で生かされるが,その牛が事故等で除籍された場合は,その牛の牛コードは,永久に欠番になる。
 既に20年以上経過しているので,牛コードの数字も大きくなっているが,同じような頭数の他の農家と比べて,牛コードの数が多すぎるときは除籍が多い=事故が多かったことの証明にもなる。

◎未経産牛の登録を励行。
 牛群検定の特典の一つに,新しく選抜された種雄牛の優先配布を受ける権利があるが,さらに後代検定に参加すると,優秀な遺伝の先取りが出来るばかりでなく,雌牛が生まれ,これが後代検定に参加して,その成績が採用されると,奨励金等が合計45,000円貰える。
 後代検定参加以外の牛も勿論だが,特に後代検定娘牛に初めて授精したときは牛コードを見本5021や5022の様に5000番台で報告することを忘れないように。

◎登録の励行。
 本牛の登録番号欄で,053の様に小さな数字で始まる牛は登録牛だが,061のように99で始まっている牛は無登録牛。
 能力の向上は,遺伝能力を上げることが第一だが,「牛群改良情報」の内容が充実して,登録牛は個体毎の遺伝能力ばかりでなく,個体毎の能力が,全検定牛中に占める%順位が分かり,科学的に改良が進められるようになったが,無登録牛は登録牛より情報が少なく,後代検定にも参加できないので,必ず全牛登録して科学的な改良を進めよう。

◎分娩又は乾乳。
 検定は分娩で始まり,乾乳で終わる。従ってこの2つの報告正しいかどうかが,検定が正確かどうかのバロメーターと言っても言過ぎでないので特に注意を。

−検定間隔と報告−
 検定成績表のAの,

◎前回検定と今回検定。
 見本の成績表の前回検定は8年4月15日で,今回検定は8年5月14日の様に,前回と今回の検定日に差がないのが理想。
 理由は,多くの情報は,月1回の検定で得られた数字に,係数を掛けて出されるので,毎月の検定日数ができるだけ同じことが望ましい。

◎受付と発行。
 受付は電算センターが受け付けた日,発行は成績表を作成して発行した日。
 見本では受付が5月16日,発行が5月17日。
 5月14日に検定されたものが3日後には発行=1週間以内で検定農家に届くことになり,直ぐ封筒から出して見てもらえば,早速役立つ。
 日数が多くかかるのは,記録票にエラーがあったり,事務手続きでどこかに滞っている場合が多いので,関係者が協力しあって,検定成績表が1週間以内に手に入れる様努力を。
 正しい検定情報を得るために,
 a 検定牛のマスター登録を正しく。
   特に未経産牛の初回授精時には5000番台で加入を忘れないように。
 s 対象になる経産牛は全頭加入する。
   加入後,やむを得ず牛群から除外する牛は「繁殖に供しない」ことを明らかにして繁殖から除くが,乳量は必ず報告する。
 d 毎月の検定日数は,出来るだけ同じにする。
 f 繁殖は検定のキーポンと,授精,分娩,乾乳の報告は特に正確にする。
   等を励行,正しい情報を早く得て,上手に活用して酪農を楽しもう。