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受精卵産子の哺育育成技術

岡山県総合畜産センター
小 田 頼 政

  近年優良な和牛を効果的に生産する方法として,乳用牛の借腹による受精卵移植技術が実用化されている。しかし受精卵産子の哺育育成時の飼養管理が確立されていないために,自然哺乳の牛に比べて発育が劣り市場での評価が思わしくない場合が多い。そこで受精卵産子の哺育育成時のポイントについて紹介します。

1.初乳の給与
 初乳には母牛の持っている病気の抗体が含まれており,初乳を飲むことによって抗体が子牛に伝わります。初乳中の抗体は分娩後時間が経過するにつれて低下するうえ,子牛の吸収能力も生後4時間以降は低下することから,生後1時間以内に飲ませることが望ましいとされています。哺乳量としては飲むだけで十分ですが,できれば2㍑は飲ませましょう。
 初乳を充分飲んでいない牛は死ぬことが多く,発育も良くないことが多いです。

2.子牛の飼養環境
 カーフハッチを用いるのが最適です。また,ハッチへの移動は分娩後できるだけ早い時期が良いようです。ハッチは新しい土の上,もしくは生石灰等を用いて土壌消毒した場所に設置しましょう。暑さ寒さの厳しい場所や牛の病気が発生したところなどは避けてください。

3.哺乳及び固形飼料
 一般的な哺乳回数は1日2回ですが,3回のほうが下痢などが少なく良好な発育がえられます。また,代用乳の給与温度にも気をつけましょう。人工乳,乾草,水は生後1週齢くらいから給与し,特に,乾草は良質なもの,水は常に新鮮なものを給与することに心がけましょう。早期からの固形飼料の食い込みをよくすると,第1胃の発育が促進されます。

4.離乳時期
 早期離乳のメリットは離乳後に早く固形飼料の食い込みが良くなり良好な発育が得られることです。離乳は一般的に8~10週齢ですが,哺乳期間よりも人工乳の摂取量が1日あたり1㎏になったころを目安と,離乳後の発育が良好です。

5.下痢対策
 下痢は,早期発見,早期治療で完全に治療することが必要です。下痢が発生したら思い切って哺乳を中止し電解質や水分の補給にとどめます。

6.離乳後の管理のポイント
 離乳後の管理は基本的に乳牛も和牛も同様です。3カ月齢まではカーフハッチで飼養し,その後は運動場付きの牛舎で十分な運動と日光浴,さらに良質な粗飼料が必要です。6ケ月齢以降は発育を見ながら育成用飼料を1日あたり3~4.5㎏給与します。受精卵産子の哺育・育成方法を表に示します。