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家畜の疾病とワクチンの正しい使い方(鶏編)

岡山県家畜畜産物衛生指導協会

 近年の養鶏産業界は安価で良質かつ安全な食卵・鶏肉を求める社会のニーズに応えるべく生産の合理化が進み,さらに高度な養鶏技術の確立へと発展させるべく多くの養鶏家の日夜たゆまぬ努力が進められております。
 そこで,鶏ワクチンには,ウイルスや細菌をいろいろの方法で殺した不活化ワクチンとウイルスや殺菌を弱くした生ワクチンがありますが,いずれも鶏に接種すると免疫(病気を予防する力)ができます。
 ワクチンがどんなにすぐれた効果(効き目)をもっていても,使い方を間違えると病気を予防することはできません。また,間違った使い方をしても他の薬のように効果を目で簡単に確かめることができませんから,使用前には,つぎの注意事項を必ずまもってください。 

◎説明書は必ずよく読んでください。
◎ワクチン,診断液は必ず2~5℃の暗所に保存し凍らせないでください。
◎ワクチン接種は健康な鶏のみ実施してください。
◎開封したワクチンはできるだけ速やかに使い,残りを保存して使うことはやめてください。
◎生ワクチンのあきビンは消毒薬につけるか,煮沸又は焼却して,ウイルスや細菌を散らさないように注意してください。
◎ワクチン接種は,各養鶏場に適したプログラムにより使用してください。
◎ワクチン(鶏痘ワクチンをのぞく)は要指示薬に指定されています。

1.ニューカッスル病(ND)
 緑色下痢便,神経症状等を主症状とした典型的な急性伝染病ですが,近年我が国で発生しているNDはむしろはげしい症状のものは少なく,非常に軽い発病や産卵減少のみのものが多い。
2.鶏伝染性気管支炎(IB)
 呼吸器障害や産卵障害あるいは腎臓障害などさまざまな症状を示すが,他の感染症との複合感染によって悪化させることが多い。
3.鶏伝染性喉頭気管炎(ILT)
 喉頭及び気管に強度の炎症を起こすため,呼吸器症状,特に開口呼吸や血様物の吐血(血痰)がみられる。あるいは窒息死する場合がある。
4.鶏脳脊髄炎(AE)
 主として幼若ひなの脚麻酔や頭頸部のふるえを主張とするウイルス病です。採卵鶏では産卵低下や卵重減少がみられます。
5.マレック病(MD)
 育成率低下の大きな原因となっており主な病変は末梢神経と卵巣にあり,脚麻痺等の神経症状をおこす。
6.伝染性ファブリキウス嚢病(IBD)
 幼若ひなに発生する急性のウイルス病です。我が国の鶏群に広く蔓延し常在化している。感染すると,F嚢が侵され,十分な免疫が得られません。
7.鶏伝染性コリーザ(IC)
 特に梅雨期や秋から春にかけ,気温の変化のはげしい時には育成中のひなや産卵開始直前の鶏に発生が目立ちます。呼吸器症状は顔や頭の腫れ,初産のおくれ,産卵低下が見られる。

◎ワクチン名および用法および用量
(1) ニューカッスル病不活化ワクチン
  2週令に0.2~0.3p,4週令未満に0.5p,4週令以上に1.0pを筋肉に注射する。

(2) ニューカッスル病(B1株)
  飲水投与,噴霧接種又は0.03pを点眼,点鼻接種する。

(3) 鶏伝染性鼻気管支炎生ワクチン
  ND(B1株)生ワクチンと同じ用法・用量で飲水投与,点眼,点鼻又は噴霧接種する。

(4) ニューカッスル病・鶏伝染性鼻気管支炎(2価)・鶏伝染性コリーザ(A・C型)混合ワクチン(NB不-NBBAC)
  35日令以上に0.5pを脚部筋肉内に注射する。

(5) ニューカッスル病・IB混合不活化ワクチン(NB不-NBオイル)
  30日令以上に0.5pを脚部筋肉に注射する。

(6) ニューカッスル病・鶏伝染性鼻気管支炎(2価)鶏伝染性コリーザ(A・C型)混合不活化ワクチン(水性)(NB不-四混合)
  30~35日令以上に0.5pを脚部筋肉内に注射する。

(7) ニューカッスル病・鶏伝染性鼻気管支炎(2値)鶏伝染性コリーザ(A・C型)混合ワクチン(油性アジュバンド加)(NB-NB2AC)
  5週令以上に0.5pを頸部中央部の皮下に注射する。

(8) ニューカッスル病・鶏伝染性鼻気管支炎(2価)鶏伝染性ファブリキウス嚢病混合ワクチン(油性アジュバンド加)(NB不-NB2G)
  5週令以上に0.5pを頸部中央部の皮下に注射する。

(9) ニューカッスル病・鶏伝染性鼻気管支炎・鶏伝染性コリーザ(A・C型)混合不活化ワクチン(油性アジュバンド加)(NB不-四種オイル)
  8週令以上に0.5pを頸部中央部背側の皮下に注射する。

(10) ニューカッスル病・鶏伝染性鼻気管支炎・鶏伝染性コリーザ(A・C型)・マイコプラズマ・ガリセプチカム(MG)混合不活化ワクチン(油性アジュバンド加)(NB不-五種オイル)
  50週令以上に0.5pを脚部筋肉内に注射する。