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〔特集〕

「おかやま黒豚」の現状と今後の振興対策について

岡山県農林水産部畜産課

1.はじめに
 養豚業界を取り巻く情勢は,豚肉輸入量の増大や産地間競争の激化,消費の低迷など生産者にとって大変厳しい状況が続いております。
 特に,直接経営に跳ね返る肉豚価格は,長期にわたる経済不況のあおりを受けて低落し全国的な問題となっており,平成8年から9年の肉豚価格が順調であった時期には関心の薄かった「地域肉豚生産安定基金造成事業」も,価格が乱高下するなかで事業の重要性が再認識されるようになってきました。
 このようななかで,飼育頭数は肉豚生産出荷状況等から減少傾向に歯止めがかかったと予測されているものの,飼育者数は小規模経営や高齢者層を中心に減少傾向が続いていることから,今後の動向が非常に気になるところです。

表 肉豚生産出荷予測

(単位:千頭、( )内前年同月比%、畜産局予測)
H11年1月 2月 3月 4月 5月 6月
全国出荷 1,376 1,376 1,444 1,422 1,309 1,354
予測頭数 (98) (101) (99) (99) (98) (99)

2.銘柄豚ブーム
 さて,ここ数年の豚肉に対する消費者の認識に変化がみられ,「実は低カロリーである」「善玉コレステロールが多い」「ビタミンB1含量が多い」そしてなにより「風味があって美味しい」といった評価に変わってきました。
 これは,生産者自らが消費者の求める高品質でおいしく,しかも安全な豚肉の生産に力を入れてきた成果であり,一方で地域養豚の生き残りをかけ独自の品種交配や飼育管理による特色ある肉豚の生産や,積極的なPRと銘柄化に向けた取り組みが大きな要因と言えるでしょう。
 いずれにしても,マスコミなどの力もあって各地で銘柄豚が脚光を浴びるようになってきました。なかでも一番の人気はやはり「黒豚」で,本物という消費者ニーズを受けて全国的なブランドとなっていますが,反面で「黒豚」の定義や表示問題等について議論されているのはご存じのとおりです。

3.「おかやま黒豚」産地づくりの推進
 「おかやま黒豚」とはもちろんバークシャー種とバークシャー種の間に生まれた純粋のバークシャー種をいいます。
 本県が「おかやま黒豚等産地づくりの推進」に取り組み始めたのは平成2年からで,銘柄豚ブームもさほど盛り上がりのなかった頃です。以前から種豚の導入は行っていましたが,この事業により本格的に鹿児島県から種豚導入を開始しました。そして一層の銘柄化を目指し平成8年から10年にかけて,バークシャー種の原産地イギリスから雄6頭,雌11頭,合計17頭の種豚を総合畜産センターに導入しました。
 肉質は,きめが細かく,柔らかく歯ごたえがあり,脂肪は白くてほどよくしまり独特の風味があり,消費者が求める最高級の豚肉で,この英国産のバークシャー種豚が「おかやま黒豚」の中心になるのはいうまでもありません。
 現在,県内の黒豚生産農家5戸に総合畜産センターから種豚が供給されており,年間約1,800頭が肉豚として出荷されておりますが,消費者からの“もっと積極的な供給”をの声に応えた生産・供給体制作りが課題となっています。

表 英国からの種豚導入実績

(単位:頭)
年度 H8 H9 H10
11

表 全国のバークシャー種の飼養状況

(H9.2.1現在、畜産局調べより)

(単位:頭)
県名 種雄豚 種雌豚 肉豚 合計 順位
鹿児島 1,756 14,700 43,706 60,162 1
宮崎 493 5,644 41,696 47,833 2
熊本 30 314 2,560 2,904 3
埼玉 65 766 1,532 2,363 4
宮城 161 229 1,075 1,465 5
青森 21 320 981 1,322 6
三重 6 45 1,200 1,251 7
岩手 90 305 680 1,075 8
岡山 28 157 871 1,056 9
群馬 50 250 580 880 10
全国計 3,200 23,798 98,247 125,245  

表 岡山県におけるバークシャー種の飼養及び出荷状

(畜産課調べ)
年度 H2 H3 H4 H5 H6 H7 H8 H9
飼養頭数 4 7 7 7 6 6 6 5
繁殖豚数 90 171 195 183 181 180 180 180
出荷頭数 400 985 1,649 1,663 1,675 1,700 1,760 1,830

4.今後の振興対策
 消費者の方から,少々高くても「おかやま黒豚」が食べたい,どこに売っているのか,という声を聞きます。
 さらに,生産者サイドからは産子数が一腹当たり8頭前後と少なく,肥育日数も一般豚よりも約1ケ月長く効率が悪いといった声があります。
 これらの問題点を踏まえ,今後の黒豚振興のためには2つの対策,つまり流通対策と生産対策が必要です。
 流通対策については,「おかやま黒豚」の良さをもっと消費者に知ってもらうことです。
 消費の拡大を図るためには,生産者や生産者団体が一体となって各種イベント等に参加し,積極的なPRを継続的に実施するほか,ここに行けば「おかやま黒豚」が確実に買える,食べられるといった店が出来ることが必要であることから,今後は量販店など流通関係者の一層の理解や協力が不可欠になることは言うまでもありません。
 生産対策については,生産者が黒豚飼育に取り組みやすくすることが必要です。
 そのためには,総合畜産センターが中心となってコスト削減や生産性向上のための技術的課題に取り組むほか,意欲ある農家に対するバークシャー種豚の安定供給や豚舎等施設整備,肉豚価格安定事業の充実強化等に努めるなど,県としても高品質な「おかやま黒豚」の増頭と銘柄化を推進することにしております。

5.おわりに
 いずれにしても,流通及びブランド化の原則は定時定量出荷と限りない品質の向上であり,消費者の高品質,本物志向が一段と強まるなかで,100パーセント純粋の「おかやま黒豚」は,本県養豚の活性化を担う充分な要件を備えていると確信しております。
 今後とも意欲ある生産者の方々や関係団体とともに,生産基盤の拡充や消費の拡大等を積極的に推進して参りたいと考えておりますので,御理解を頂きますようお願いします。