ホーム岡山畜産便り > 岡山畜産便り1999年2月号 > 「先進地鹿児島県における“鹿児島黒豚”の課題と対策」

「先進地鹿児島県における“鹿児島黒豚”の課題と対策」

岡山県養豚振興協会

 平成10年12月11日に岡山市で開催された養豚経営技術研修会において鹿児島県畜産試験場の川野組男養豚部長が講演されましたのでその要旨をご紹介します。
 鹿児島における“かごしま黒豚”のルーツは古く約400年前に琉球から移入され,その後長年にわたる改良の結果作られたものである。
 鹿児島における「黒豚」は,外観(体毛は黒色で,四肢,鼻梁,尾端に白斑:六白)血統とも6日本種豚登録協会のバークシャー種の品質基準に基づく純粋種の産子であり,鹿児島県内で生産,肥育し,出荷された豚肉と定義されており,黒豚(バークシャー種)と他品種を交配した豚は一般豚として扱われている。
 最近の豚肉の生産流通の動向は,厳しい産地間競争の対応策として,豚肉の高品質化,銘柄化へと指向しており,6中央畜会の調査では,全国に156の銘柄豚が存在し,そのうち,17銘柄が黒豚を表示している。
 「かごしま黒豚」は従来から銘柄豚として,流通関係者や消費者から高く評価されてきたが,近年の消費者の高品質指向により,さらに需要が高まっている。しかしながら,最近の「かごしま黒豚」については,「さすがにおいしい」という評価とあわせて,一部に「バラツキがある」,「肉のしまりが良くない」などの指摘があり,ブランド化の条件である定質と定量については,生産者サイドの生産体制の整備が必要である。
 今後の課題としては,品質の高位斉一化,生産量の安定的拡大,販売促進の強化,産地表示の徹底等が提起されている。
 このため,今後とも流通・消費サイドからフィードバックされるデータや要望をもとに,黒豚生産者協議会が中心となり,さらに,高品質でおいしく,かつ,安全で,新鮮な「かごしま黒豚」肉を安定的に供給するため,優良種豚の導入,飼育管理技術の改善,生産者証明制度の定着により「生産者の顔が見える流通」を積極的に展開していくことが必要である。
 特に,全国的な黒豚ブームに便乗してなんでも「黒豚」のレッテルを貼っていると消費者の信用を失い,黒豚が敬遠されるおそれがあるので,産地,生産者,品種構成などを明記して責任ある適正な生産・流通に心がける必要がある。

・鹿児島黒豚生産者協議会:「かごしま黒豚」の銘柄を真の差別化商品として確立するには,生産者みずからが連携し,種豚の改良と飼育管理技術の向上に積極的に取り組み,消費者ニーズに対応できる安全でおいしい,豚肉を生産することが責務であることから,黒豚生産者並びに関係機関が平成2年10月に「鹿児島黒豚生産者協議会」を設立し,「かごしま黒豚」の品質向上,斉一化及び,生産拡大を計るとともに消費者及び流通関係者と密接な情報交換を行うことにより消費者のニーズに応えた豚肉を生産し,付加価値の向上と「かごしま黒豚」の銘柄確立を推進している。

・かごしま黒豚証明制度:協議会では,鹿児島県産の「かごしま黒豚」の差別化と銘柄確立を推進するとともに,安全でおいしい黒豚肉の生産を促進することにより黒豚生産農家の経営の安定・向上をはかるため,平成4年4月に「かごしま黒豚証明制度」を発足し,「かごしま黒豚証明シール」を発行している。この証明シールの交付は6日本種豚登録協会の品種基準に基づく「バークシャー種」の純粋種の産子であり,鹿児島県内で生産・肥育して出荷された肉豚を対象にしている。
  証明シールを貼り付けすることにより,生産農家が生産物に対して自信と責任を持つと同時に,他県産の黒豚と差別化し流通サイドからの情報をフィードバックして生産現場に反映させるという利点がある。