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「豚肉の育成率を阻害する疾病と対策」

津山家畜保健衛生所 澤田 勝志

 養豚経営の高位安定化を図るためには,育成率の向上が重要なポイントになります。育成率に影響を与える要因としては,母豚における泌乳能力等の遺伝的因子もありますが,疾病の発生が重要な問題となります。このため,育成率を阻害する疾病について,以下にその対策と併せて,妊娠・分娩期,哺乳期,離乳後の3期に分けて述べます。

1.妊娠・分娩期
 この期に発生する阻害疾病は,いわゆる流産・異常産を呈するもので,日本脳炎,バルボウイルス感染症,オーエスキー病,PRRS等が代表的です。日本脳炎は蚊が媒介するため,蚊の発生する前(3月〜5月)に若い繁殖豚雌・雄共にワクチン接種を実施します。バルボウイルス感染症は接触感染で伝播するため年間を通じて感染しますが,多くは夏期における感染が多いため,若い繁殖豚は日本脳炎と同時に接種しましょう。抗体調査などで清浄農場であることが確認されていれば,未経産・経産を問わず予防が必要です。オーエスキー病及びPRRSについてはワクチンを使用しないで,抗体陽性豚の早期淘汰,抗体陰性豚の導入に徹することが望まれます。また,導入に際しては「陰性証明」のあるものを導入し,3週間は飼養豚から隔離しましょう。

2.哺 乳 期
 この期の育成阻害対策としては,まず,夏期に母豚がいきなり横臥しないよう柵を設置する,尻部に送風する等の圧死予防対策が必要です。疾病では大腸菌症,萎縮性鼻炎,SEP,すす病,後に臨床化するコリネバクテリウム症対策が主となります。これらについては抗体調査及び臨床観察を行い,日頃から疾病浸潤の有無を確認しておくことが望まれます。萎縮性鼻炎については母子ともに適時にワクチンを接種し,更に,分娩豚房の消毒,入房前母豚の豚体消毒,床面の石灰乳の塗布等の衛生的処置と換気,温湿度調整,清潔な飲水の給与が大切です。

3.離 乳 後
 離乳後の阻害疾病としては,ヘモフィルス,バスツレラ等の肺炎が重要となってきます。ヘモフィルスに対しては,多価ワクチンの使用が推奨されます。バスツレラには,発症日令に合わせた抗生物質の投与(注射)を群単位で徹底することが必要ですが,中途半端な対応では発症後の重篤な症状を遅らせるのみとなるため,群全体が解熱した後,2〜3日の後追い投与が必要となります。しかしながら,これらの疾病はいずれも日和見感染することから,ワクチンや抗生物質の投与の前に,まず,衛生的管理(畜舎消毒の徹底,換気の励行,隙間風の防止,密飼の防止,豚舎ごとの管理器具・履き物の使用等)を実施することが第一となります。