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〔普及現場からの報告〕

堆肥センターと梅の里を中心とした農業振興を目指して
−久米町−

津山農業改良普及センター 内田 啓一

 久米町の基幹産業は水稲を中心とした農業であり,その中に水稲との複合経営による畜産農家が点在し共存共栄の形で発展してきたが,住宅の混住化により,畜産経営,主に家畜ふん尿に起因する悪臭やハエの発生などの畜産公害が生じてきており,早急な環境整備が望まれていた。
 こうした環境問題を解消し,耕種農家への良質堆肥供給を図るためにふん尿を一体的に処理する施設が建設された。
 ここでは,堆肥センターとその裾野に広がる梅園との有機的連携を核として,有機資源の循環と特産品づくりを展開している同町の取り組みを紹介する。

モミガラを使って完熟堆肥づくり
 久米町神代の小高い丘の上に立つ施設は,その名も「ゆうきの丘」。平成9年に久米町が設立した堆肥処理施設である(写真@)。

堆肥処理施設概要
敷地面積 1,800u
建築面積 1,339u
堆肥処理機械 横型密閉強制発酵装置(連続式)
処理能力 15トン/日

 現在,酪農家12戸をはじめとする町内14戸の畜産農家が参加しており,同施設の管理運営は久米郡農協が行っている。
 堆肥回収コンテナで農家から持ち込まれた日量約10トンのふん尿はモミガラと混合され,直径3m,長さ22.5mのロータリーキルン(横型発酵槽)に投入される。キルン内で強制発酵後,キルンの外で切り返しによる2次発酵が行われ,4ケ月後には完熟堆肥が完成する。
 地域から出るモミガラを水分調整材として利用することで,地域資源の有効活用,生産コストの低減が図られ,またこのモミガラはある程度粉砕して利用することで吸水率の向上,早期の良質堆肥が可能となる。

梅の里とふれあい農園でまちおこし
 堆肥センターの裾には,約5ゥの梅園「梅の里」が広がっており,梅の見頃となる2月中旬から3月下旬には4,500本の梅の花が公園一面に咲き,梅の香りを漂わせ春の訪れを感させる。
 「町木の梅で花見ができ,特産品ができたら」という声にこたえて整備された梅の里では,毎年3月には梅祭りが行われ,町内外からの来園者で賑わう(写真A)。
 梅の里周辺には加工施設・ふれあい農園・特産品の売店なども整備されており,加工施設では梅の実を使ったゼリー・シソ漬け・ジャムなどの特産品を製造・販売している。また,ふれあい農園では町特産のジャンボピーマンの育苗を行っているほか,小学生を招いて農業体験をするといった計画もあるなど,梅のまわりには多くの可能性がある。

久米町農業の中心となる堆肥センター
 堆肥センターで生産された堆肥は,JAを通じて梅の里のほか久米郡内の耕種農家に供給されている。
 堆肥は土づくりに欠かすことのできない要素であり,地域の耕種農家へ有機資源を安定的に供給するために町,農協,堆肥センター職員,そして畜産農家といった関係者は良質堆肥生産に懸命だ。
 堆肥センターと梅の里を中心とした農業振興に寄せられる期待は大きい。