ホーム>岡山畜産便り > 岡山畜産便り1999年4月号 > 飼料作物単収向上実証展示圃の成績について |
酪農および肉用牛経営の安定化を図るためには,生産費中に占める割合の高い飼料費の低減が不可欠であり,飼料自給率を高めるとともに,その品質向上と高位生産による低コスト生産が重要であります。
本畜産会は平成8年度から始まった飼料作物単収向上対策事業に取り組み,関係機関並びに関係農家の協力を得て実証展示圃を設置し,飼料生産利用技術の実践的普及を図って参りました。
実証展示圃の設置数は3か年間で29か所と多く,内容も地域の特性を生かした普及性の高いものですがそれ等のうちから6事例を選定し,概要を紹介いたします。
1.塩田跡地におけるリードカナリーグラスとトールフェスクの混播栽培
(1) 設置場所:邑久郡牛窓町牛窓
(2) 管理者:牛窓町飼料生産組合
(3) 実証展示技術のねらいと成果
塩田跡地における飼料生産技術を確立するため,耐湿性の強い牧草のリードカナリーグラスとトールフェスクの混播を行なったところ,良好な生育を示した。
(4) 栽培概要
草種(品種)
リードカナリーグラス(ベンチャー)
トールフェスク(ケンタッキ31フェ
スク)
播種期:平成8年11月3日
播種量(10a当り):リードカナリー
グラス 2s
トールフェスク
2s
(5) 収量(10a当り)
収量は第1回目3,700s,第2回目2,350s,合計6,050sであった。
2.笠岡湾干拓地におけるアルファルファの栽培とサイレージ調整利用
(1) 設置場所:笠岡市カブト中央町
(2) 管理者:竹信 博己
(3) 実証展示技術のねらいと成果
笠岡湾干拓地におけるアルファルファの栽培と利用技術を確立するため栽培実証を行ったところ,高収量が得られた。なお,バンガーサイロにより省力的に良質サイレージが調整できた。
(4) 栽培概要
品 種:タチワカバ
播種期:平成8年10月15日
播種量:(10a当り)2s
(5) 収量(10a当り)
平成9年度は6回刈り取りを行ない,収量は16,800sと高い水準であった。特に,アルファルファは利用技術が問題となるが,予乾を行ないバンガーサイロで良質サイレージが調製できた。
3.秋作麦とイタリアンライグラスの混播による高位生産
(1) 設置場所:小田郡矢掛町畜産公社
(2) 管理者:社団法人矢掛町畜産公社
(3) 実証展示技術のねらいと成果
秋作用の麦とイタリアンライグラスの混播を行ない,単収向上とあわせてサイレージの品質向上を図ることをねらいとして実証展示を行ない,10a当り7,500sの高収量を得た。
(4) 栽培概要
草種(品種)
大麦(あまぎ二条)
イタリアンライグラス(ワセユタカ)
播種期:平成9年10月25日
播種量(10a当り)
大麦4s,
イタリアンライグラス2s
(5) 収量(10a当り)
第1回目(1月6日)4,100s,第2回(5月13日)3,400sであった。
4.乾草用牧草の周年作付利用体系の確立
(1) 設置場所:笠岡市カブト中央町
(2) 管理者:吉本洋治
(3) 実証展示技術のねらいと成果
春夏作にローズグラス,秋冬作にイタリアンライグラスを栽培し,乾草用牧草の周年作付体系の確立をねらって実証展示を行ったところ,いずれも高収量で良質の乾草を調製することができた。
(4) 栽培概要
草種(品種)
ローズグラス(カタンボラ)
イタリアンライグラス(タチワセ)
播種期:ローズグラス(9年6月22日)
イタリアン(9年11月26日)
播種量(10a当り):ローズグラス1s,イタリアンライグラス3s
(5) 収量(10a当り)
ローズグラス(8月25日)5,500s,イタリアン(4月30日)4,800sであった。
5.トウモロコシとソルガムの混播による高位生産技術の確立
(1) 設置場所:久米郡柵原町安井
(2) 管理者:吉原謙一
(3) 実証展示技術のねらいと成果
トウモロコシ播種時に肥料用ホッパより肥料を混合したソルガムの種子を落とし,混播栽培を行ったところ,ソルガムの再生利用が可能となり,高位生産が図られた。
(4) 栽培概要
草種(品種)
トウモロコシ(スノーデント114)
ソルガム(高糖分ソルゴー)
播種期:平成10年4月11日
播種量(10a当り):トウモロコシ2s,ソルガム2s
(5) 収量(10a当り)
第1回目(7月21日)6,175s,第2回目(11月30日)5,000sであった。
6.永年牧草地に繁茂する外来雑草の除草剤による駆除技術の確立
(1) 設置場所:真庭郡川上村上徳山
(2) 管理者:筒井彦二
(3) 実証展示技術のねらいと成果
永年牧草地に繁茂している外来雑草(ワルナスビ)の駆除技術の確立をねらって除草剤の種類による除草効果について実証展したところ,ハーモニー75DF水和剤(5g/10a)及びザイトロンアミン液剤(500ml/10a)の除草効果が認められた。なお,非農耕地においてはラウンドアップ液剤(1,000ml/10a)が効果的であった。
(4) 実証概要
一番草刈取後30日目の6月30日に各除草剤を10a当り150rの水に溶かし,スプレヤーにより散布した。
(5) 実証成績
除草剤散布後17日目の7月17日に除草効果を調査したところ,ハーモニー75DF水和剤区およびザイトロンアミン液剤区とも生長点が黄変し,生育を圧えることができた。ラウンドアップ液剤区は茎葉のほとんどが枯死した。