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養鶏農場の消毒について

岡山県総合畜産センター中小家畜部養鶏科

1 消毒とは?

 消毒とは,鶏の健康を維持するため,またその生産性低下防止のため,鶏舎内の様々な病原微生物をできる限り死滅させることです。しかし,鶏舎内に鶏がいる限り,常に微生物のない状態にまで消毒し,それを維持することは大変困難です。そのため,消毒の実際的な意味は,施設を可能な限り清浄な状態を保持し,病原微生物による汚染の機会を遮断又は軽減することです。

2 消毒法について

 消毒効果を高めるためには,消毒するものの種類によって消毒方法を適宜選択しなければなりません。最も効果の高い消毒方法は焼却,煮沸,高圧蒸気などの熱消毒があります。しかし,飼育施設など消毒対象物が大きい場合これらの方法を用いることができず,主に消毒薬を用いて行うことになります。

3 消毒薬について

 消毒薬による消毒効果をより確実なものにするためには,消毒を行う前の清掃,洗浄が重要となります。清掃及び洗浄をしないで消毒薬を散布した場合,消毒薬が埃や糞に含まれる有機物や塩類と結合して沈殿を生じ,消毒力が低下します。そのため,消毒を行う前に埃や糞などその他の固着物を除去,洗浄することが重要となります。また,それぞれの消毒薬には適正濃度がありそれ以上の高濃度であったり,逆に低濃度であってもいけません。特に高濃度の場合,金属を腐食してしまう場合もあります。そして,2種類以上の異なる消毒薬を用いる場合は,使用した消毒薬が完全に乾燥した後,もう一度,水洗・乾燥させてから別の消毒薬を使用します。消毒薬を混合すると化学反応により消毒力が低下消失することがあるため注意して下さい。この他,いろいろな注意事項がありますが,せっかく消毒したのに効果がないということのないよう使用上の注意を守ってお使い下さい。

4 ウィンドレス鶏舎における消毒

 ウィンドレス鶏舎では機器への影響や排水の問題から,消毒作業を行う前の洗浄で大量の水を使用することができません。このため,使用する水の量が少量ですむように考えられた消毒法として煙霧消毒や発砲消毒などがあります。これらの消毒法にも利点や問題点があるため,各々の作業形態にあった消毒法を選んで行って下さい。

5 おわりに

 以上のように消毒にはいろいろな注意が必要です。しかし,何よりも大切なことは作業者の健康を害さないということであるため,消毒作業を行う場合,消毒者は手袋・マスク等の使用や被服が破損していないかなどに十分注意し作業を行うことが重要です。
 なお,詳細については「養鶏衛生ハンドブック」社団法人 全国家畜畜産物衛生指導協会の第4章 採卵鶏の飼育環境衛生および第5章 衛生管理を参照して下さい。また,御不明な点については,お近くの家畜保健衛生所までお問い合わせ下さい。