〔地域情報〕

外へ広げる連携の輪

岡山地方振興局畜産係

 昨年12月に公表された農政改革大綱の大きな柱の一つとして経営感覚に優れた経営体の育成が打ち出され,「生産者から経営者へ」の意識改革を推進するにあたっては,関係機関の連携強化が今後,ますます重要になるものと推察される。
 従来,畜産関係において,補助事業は行政,衛生対策は家保,新技術開発は試験研究,技術経営指導は普及と各々が独立して自己展開する傾向にあったが,近年,普及事業が専門的な技術指導から経営改善や就農促進等の指導に重点をシフトするなかで,これからは生産現場での技術的な問題の把握,技術指導,情報提供等の役割の分担を見直し,関係機関の垣根を越えた総合的な支援体制の再整備が必要になると思われる。
 また,農政改革大綱,同プログラムの中で畜産に関係する要点は次のとおりである。

@ 生産努力目標の策定
  ・酪農及び肉用牛生産の近代化基本方針
  ・飼料増産推進計画
A 新たな酪農・乳業対策
B 家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律
C 持続性の高い農業生産方式の導入の促進に関する法律

 このうち,今後,地域農業の核となり畜産振興に大きく影響してくると思われる持続的な農業−堆肥づくり・土づくり−の推進について,加茂川町の事例を紹介する。

〈加茂川町における堆肥づくり・土づくり〉

(1) 堆肥づくり
  昭和60年に町が事業主体となり,畜産再編総合対策事業(国庫)で堆肥製造施設を整備し,町営の堆肥供給センターとして昭和61年から製造,供給を開始した。
  さらに平成9〜10年の畜産基盤再編総合整備事業(国庫)で堆肥舎の増設,堆肥運搬及び散布用機械を導入し,堆肥の散布供給システムを整備した。
(2) 土づくり
  昭和63年に岡山県では全国に先駆けて有機無農薬農産物の認証制度が創設され,加茂川町においても平成元年に生産集団が登録し,水稲,野菜を栽培している。
  平成2年頃から阪神方面の米穀販売業者と連携し加茂川町有機無農薬米として販売しているが,取扱数量の拡大要望をうけて,平成10年に有機減農薬米を試験栽培したところ,高い評価を得たので,農協が中心となり町全体で有機減農薬米栽培を推進することとなった。

※有機減農薬米栽培(品種コシヒカリ)
@ 堆肥の運搬散布は(財)せんたろう公社が請負い,稲刈取り後,元肥として1t/10a散布する。(成分N1.93%,P3.55%,K3.86%)
A 化学肥料は使わず,穂肥としてナタネ粕粒剤を40s/10a散布する。
B 田植え直後に除草剤を3s/10a散布するが,害虫密度が上がる前の8月下旬〜9月上旬に刈取るため農薬による防除はしない。

〜広がる連携の輪〜

 これまで自立して経営確立に取り組む生産者は,地域の中ではややもすると異端視されがちであったが,最近の管内の事例をみると,今日の担い手不足の状況の中ではむしろ時代をリードする旗手として地域で積極的に支援していこうという気運が芽生えている。
 また,加茂川町のように堆肥づくり・土づくりを中心として地域と連携することで今後の畜産に明るい方向を見出したいものである。