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ファン(送風機)の清掃の重要性を認識しよう

岡山県農業総合センター総合調整部  
技術普及課 旭分室 佐藤 和久

 乳牛の能力が向上するにつれ,酪農経営における防暑対策の重要性が高まっています。しかし,新規投資による防暑対策機械等の導入は難しい時期であり,まずは今ある機械の有効活用を考えることが必要と思います。
 そこで,牛舎内における防暑対策として最もよく普及しているファン(送風機)の効果をより高める方法の一つを紹介します。

1.ファンの作動原理と特徴
 一般に畜舎で使用されるファンは,「軸流ファン」と呼ばれ,家庭用の扇風機と同じく「揚力」を作動原理としています。「揚力」は,飛行機を浮き上がらせている力で,汚れの付着に弱いという特徴があります。何年か前にアメリカで旅客機の翼に雪がついたまま離陸しようとして墜落した事故がありましたが,ファンの羽根でも同じことが言えます。

2.清掃によるファンの能力の改善効果
 家庭用の換気扇(30p羽根径)では,羽根への付着粉塵が送風能力を大きく低下させたことが家庭で報告されています。
 そこで,酪農現場で使われている中型の可動型扇風機(羽根径50p:著しく塵埃の付着したもの:写真1)を用い,付着粉塵の有無による風速の変化を扇風機から2〜8cの距離について調査しました。

 なお,調査に当たっては畜舎内に設置されているファンの形式に似た状況を作るため前ガードをはずしたうえで@無処理A羽根のみ清掃B羽根及び裏ガード清掃(写真2)の3処理について比較しました。
 その結果を,最高風速についてまとめたのが第1〜3図です。風速2c/s以上の風は,無処理(@)ではファンの前方4cまでしか測定されませんでしたが(第1図),羽根清掃のみ(A)では6cまで(第2図),さらに羽根及び裏ガード清掃(B)では8cまで向上することがわかりました。

写真1 扇風機裏面   
写真1 扇風機裏面         写真2 清掃後

3.送風の重要性
 平成8年〜9年に北部地域の酪農家を対象として,夏季における牛舎内の気温・風速分布測定を実施した際に,ストール部分の風速が1c/s未満の牛舎が多く見られました(畜舎例:第4図)。牛の体感温度を推定する式の一つに「気温−6√風速」があります。これによれば,気温が30度のとき風速が1c/sあれば体感温度は24度となりますが0.7c/s以下なら,高泌乳牛の生産性低下が始まるとされる25度を超えてしまいます。

 防暑対策は送風だけではありませんが,お金がほとんどかからない割に効果が高いファンの清掃の重要性を是非再認識して頂きたいと思います。