〔共済連便り〕

家畜診療日誌

農業共済連 岡山中部家畜診療所 正木 博

「収益アップの第一歩は年2回の削蹄から」
 「風邪は万病の元」とは,人で昔からよく言われてきたことですが,牛の万病の元は,いわゆる蹄病や関節炎などの肢蹄疾患だと思います。この様な疾患になりますと,疼痛などで常時ストレスが加わり飲水,採食量が減少します。その結果,乳量の低下や発情不明瞭などの繁殖障害あるいは消化器疾患(例えば第四胃変位)等を引き起こします。このように肢蹄疾患は様々な疾病を併発したり,蹄病や関節炎が悪化しますと治癒の見込みがなく廃用になり,その経済的損失は相当なものになります。
 岡山中部家畜診療所管内における平成10年度の家畜共済死亡・廃用事故頭数は210頭(頭数事故率9.8%)で,このうち最も多かったのが蹄病や関節炎によるもので,60頭と30%近く発生しました。
 このような疾病を防止するために畜主に定期的な削蹄(年2回)を促すのですが,あまり良い返事が帰ってきません。私の担当地区では概ね次の二通りに分かれます。
@高齢などの理由で削蹄が自分で出来ないため,削蹄師を頼んでいるがなかなか来てくれないのでそのままになっている。
A自分で時間の余裕のある時に少しずつしようと思っているが,ついつい伸び伸びになっている。
 @の場合は岡山県装削蹄師会支部(各家畜診療所が事務局です。)に相談して下さい。
 あくまでも,おかかえの削蹄師に拘らず人を替えてでも削るんだという気で探して頂きたいと思います。
 削蹄師を替えることを嫌っていては問題の解決にならず,待っている間に変形蹄になり蹄病,関節炎の原因になります。
 Aの場合は出来るだけ安全で簡単な操作が出来るような保定枠や削蹄器具を用意することが必要になります。
 写真は美作町で削蹄師をされている小林勝彦さんが制作した保定枠で,この保定枠は現在,岡山市河原の酪農家の沼本吉雄さんが活用されています。
 後肢は電動ウインチによる吊り上げ,前肢はストッパー付きのギアにハンドルを付けロープで保定するようにしてあります。
 小林さんは他にも色々なタイプの保定枠を考案していますが,今回は出来るだけシンプルなものをお願いしました。
 プロの削蹄師ならではの工夫が随所にしてあり,使用上の注意事項さえ守れば安全で簡単に四肢の保定が出来ます。
 定期的な削定は様々な点で牛に良い影響を与え,その効果は削蹄費用など十分に補って余りあるものとなりましょう。
 是非,年2回の定期的な削蹄を実施するようお願いします。