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超高能力牛後継牛の泌乳能力

総合畜産センター 坂部 吉彦

 総合畜産センターでは,全国のスーパーカウブームに先駆けて,乳用牛群の改良を促進するため,アメリカから計19頭の超高能力牛を導入しました。これらの超高能力牛の活用は,ET技術の実用化と普及を図ることを大きなねらいとして進めてきました。
 現在までに,県内の酪農家で,82頭の後継牛が生産され,早いものは分娩・泌乳している牛もみられてきました。
 そこで,今回超高能力牛の後継牛たちのフィールドでの活躍状況を簡単にまとめたのでお知らせします。

1.後継牛の生産状況
 受精卵の譲渡卵数は年度を追うごとに増加し,平成10年度には140卵を譲渡するまでになりました(表1)。

 
平成6〜8年度
平成9年度
平成10年度
累計
移植
生産雌
移植
生産雌
移植
生産雌
移植
受胎
生産雌
新鮮卵

25

17

12

54

33

10

凍結卵

116

18

54

48

218

116

25

性判別卵

39

13

70

31

80

189

113

47

合計

180

38

141

40

140

461

262

82

 表1.超高能力牛の移植・分娩状況(平成10年度末現在)

 平成8年度からは,酪農家の皆さんの強い要望で性判別卵の譲渡を開始しましたが,無判別卵の輸入が定着化しつつある中で,センターへの要望のほとんどが性判別卵という状況にあります。

2.後継牛の泌乳能力
(1)
 総合畜産センターでの成績
 平成11年3月までに40頭の後継牛が生産され,そのうち10頭の検定成績が明らかになっています。(表2)

 
初産時
2産時
3産時
超高能力牛

11,152

10,830

9,472

後継牛

10,654

12,268

 
表2.超高能力牛と後継牛の泌乳成績(305日補正乳量:kg)

 超高能力牛,後継牛ともに305日補正乳量の平均は,1万s以上となっており,母系統に高泌乳牛群を選抜導入したことにより,高い泌乳能力が実現できました。
(2) 酪農家での成績
 県内酪農家での後継牛の成績は,流産等の体調不良により成績の低いものもありますが,補正乳量の平均は1万sとなっており,まだ例数が少ないながら高い泌乳能力を発揮しています(表3)。

供卵牛×種雄牛
分娩年月日
産次
日数
乳量
乳脂
蛋白
補正
備考
モニーク×スローカム H9.12.26

1

310

8,789

4.2

3.1

10,705

 
ブライト×プレリュード H10.12.10

2

69

2,064

4.5

3.5

   
イングリット×ジェッド H7.11.6

1

262

5,960

3.5

3.2

8,715

流産
  H10.5.10

2

255

8,765

2.7

3.0

11,620

 
イングリット×プレリュード H10.3.23

1

318

7,487

3.9

3.2

8,784

 
イングリット×プレリュード H9.12.10

1

355

9,606

3.6

2.9

10,777

 
イングリット×ジェット H10.2.15

1

279

8,416

3.9

3.1

10,695

 
  H11.2.4

2

15

528

5.4

3.9

   
エルラ×スローカム  

1

21

446

5.1

3.3

   
キャロル×ベルウッド H10.3.13

1

313

9,179

3.6

3.4

8,966

 
ロキシー×スローカム H10.7.9

1

122

2,551

4.0

3.1

   
ロキシー×スローカム H10.9.6

1

164

5,718

4.2

2.9

12,528

 
ロキシー×スローカム H10.10.18

1

114

3,549

4.1

2.9

10,448

 
ホートン×エモリー H10.11.4

1

99

2,468

3.3

3.1

8,167

 
平均        

4.1

3.2

10,057

 
今後産歴を重ねることでより高い能力を発揮していくものと思われます。
 今回のとりまとめでは,特定の牛についての成績に限られていますが,個々にみると供卵牛の特徴が強く出ているように思われます。特に乳成分については供卵牛の特徴が出ていると言えます。
 今後これらの牛を中心とし,それぞれの酪農家にあった交配を実施し,経営の特性を生かした牛群整備が加速度的に進むものと期待しています。